2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20199334)
松崎 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20101933)
工藤 千恵 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90424126)
塚本 信夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20407117)
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Keywords | 腫瘍抗原 / 免疫療法 / 網羅的遺伝子解析 / RNA干渉 / 樹状細胞 / HLA遺伝子導入マウス / 免疫回避 / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
各種網羅的遺伝子解析法を用いて悪性黒色腫抗原を同定してきたが、本年度は、精巣組織からRDA法で同定した癌精巣抗原KU-CT4抗原の抗体を作成して、蛋白レベルでの発現解析を行い、免疫染色法にてKU-CT4は悪性黒色腫組織で発現することを確認した。さらに、コンピューターアルゴリズムで選定したHLA-A24結合ペプチドを合成し、HLA-A24遺伝子導入マウスへの免疫およびヒト末梢血からのin vitro T細胞誘導法を用いて、日本人に高頻度に発現するHLA-A24結合性のT細胞エピトープを同定し、悪性黒色腫細胞株を傷害するT細胞の誘導に成功した。KU-CT4は、正常組織では精巣に高発現するが、他の組織での発現は非常に低く、悪性黒色腫だけでなく、様々な癌種で発現と血清特異的IgG抗体が認められ、広い癌種に対する腫瘍抗原となる。癌細胞の免疫回避機構の解明においては、前年度示した悪性黒色腫だけでなく、肺癌でもras活性化変異などに起因するMAPKシグナル亢進による免疫抑制性サイトカインの産生が起こり、シグナル阻害剤による免疫抑制活性の減少が可能であることを明らかにした。また、悪性黒色腫では、レンチウイルスshRNA、オリゴsiRNAを用いて、STAT3やBRAFに加え、APCやβ-catenin遺伝子異常によるWntシグナル亢進が、癌細胞の増殖生存には影響を与えないが、免疫抑制性IL10の産生を促進させることを見いだした。産生されたIL10は樹状細胞の成熟化の阻害に可能している。したがって、様々な癌種において、様々な癌遺伝子・シグナル異常が癌の悪性形質の一つである免疫回避機構に直接関与することが示された。
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