2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 Keio University, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 知信 , 医学部, 助教 (20199334)
桜井 敏晴 , 医学部, 助教 (20101933)
工藤 千恵 , 医学部, 講師 (90424126)
塚本 信夫 , 医学部, 助教 (20407117)
植田 良 , 医学部, 助教 (30317143)
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Keywords | 悪性黒色腫 / がん幹細胞 / 免疫療法 / 腫瘍抗原 / 免疫抵抗性 |
Research Abstract |
本年度は、ヒトがん幹細胞(がん始原細胞)の免疫学的意義を検討した。ヒトグリオーマ患者血清を用いて、cDNAクローニング法で単離同定した脳腫瘍抗原は、グリオーマ組織からスフェアー形成法で樹立した細胞分画での発現が認められた。この細胞分画は免疫不全マウスへの移植により、患者脳腫瘍組織と同様な神経細胞とグリア細胞とより未熟な細胞の不均一な細胞群からなる腫瘍組織を形成し、グリオーマ幹細胞であると考えられた。このグリオーマ幹細胞は、脳腫瘍抗原特異的CTLにより傷害されたので、本腫瘍抗原は、グリオーマ幹細胞を排除し得る抗原として、免疫療法に有用である可能性が示唆された。しかし、これは培養細胞であるので、今後、in vivo非培養グリオーマ幹細胞へのT細胞による傷害性を検討する必要がある。また、ヒト悪性黒色腫細胞株からside population法を用いて、免疫不全マウスへの移植において、少数細胞で高い腫瘍形成能を示し、ABC-G2高発現、化学療法抵抗性というがん幹細胞様性質をもつ細胞分画を樹立した。この細胞分画の網羅的遺伝子発現解析により、悪性黒色腫幹細胞様細胞が発現する新規癌精巣抗原を同定した。悪性黒色腫における培養T細胞を用いた養子免疫療法で完全寛解後、数年後に再発を繰り返した症例を経験し、本症例では、免疫療法抵抗性の休止期悪性黒色腫細胞の存在、すなわち、がん幹細胞の存在が示唆された。上記悪性黒色腫幹細胞様細胞は、in vitro NK細胞傷害アッセイにおいて抵抗性をもつことが判明し、がん幹細胞は化学療法抵抗性だけでなく、免疫療法抵抗性である場合があることが示唆された。今後、この抵抗性の分子機構を解明する必要がある。
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Research Products
(23 results)