2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016071
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
八木田 秀雄 Juntendo University, 医学部, 准教授 (30182306)
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Keywords | 抗DR5抗体 / プロテアソーム阻害剤 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 抗ErbB-2抗体 / IL-21 / CTL / 乳癌 / 腎癌 |
Research Abstract |
(1) 現在、多発性骨髄腫の治療に用いられているプロテアソーム阻害剤Bortezomib(Velcade)は、マウス腎癌細胞Rencaや乳癌細胞4T1の抗DR5抗体感受性をin vitroで高めるのみならず、in vivoにおいてもこれらの細胞の肺転移を相乗的に抑制することを示した。(2) 現在、国内で固形癌を対象とした第I/II相臨床試験が行われているヒストン脱アセチル化酵素阻害剤Vorinostat(Zolinza)は、マウス乳癌細胞4T1の抗DR5抗体感受性をin vitroで高めるのみならず、in vivoにおいても相乗的な抗腫瘍効果が得られることを示した。(3) 抗DR5抗体の投与は、ヒトパピローマウィルスHPV-17E7抗原のDNAワクチンによる抗原特異的なCTL誘導を増強し、相乗的な抗腫瘍効果が得られることを示した。(4) ラットErbB-2トランスジェニックマウスに自然発症する乳癌を対象に、ErbB-2に対する抗体と抗DR5抗体の組み合わせにより相乗的な抗腫瘍効果が得られることを示した。(5) 現在、メラノーマや腎癌を対象とした第I/II相臨床試験が行われているIL-21の追加投与により、抗DR5抗体あるいはTrimAb(抗DR5/CD40/CD137)投与による腫瘍特異的CTL誘導が増強され、相乗的な抗腫瘍効果が得られることを示した。(6) 抗マウスDR5抗体(MD5-1)の頻回投与は、BALB/cやDBA/2マウスでは全く毒性を示さないが、C57BL/6やC3H/Heマウスにおいては致死的な胆汁うっ滞性肝障害を引き起こすことを見出した。感受性のマウスにおいては何らかの優勢の遺伝背景によって胆管上皮細胞でDR5が高発現しており、胆管上皮細胞のアポトーシスに起因する胆管炎から閉塞性黄疸による二次的な多臓器不全が起こることを明らかにした。また、抵抗性のマウスにおいても総胆管結紮により胆管上皮細胞のDR5発現が亢進し、抗DR5抗体に感受性となることを示した。抗ヒトDR5抗体の第I相臨床試験においても1例で同様な黄疸と肝障害が認められており、肝機能に異常がある患者への抗DR5抗体の投与は禁忌となる可能性が示唆された。
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