2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療効果増強のための新たな分子標的の探索とその機構解明
Project/Area Number |
17016073
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三橋 紀夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20008585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 哲夫 群馬大学, 医学部, 講師 (10261851)
前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60332350)
那須 佐知子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50292602)
石川 仁 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター病院, 研究員 (70344918)
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Keywords | 放射線感受性 / 放射線増感 / 分子標的 / 生存シグナル / マイクロアレイ解析 / クラスター解析 / p73蛋白 |
Research Abstract |
1)ZD1839とTrastuzumabを用いた上皮細胞増殖因子受容体の二重阻害による放射線増感 細胞周期に明らかな変化が認められない濃度の阻害剤と3時間接触させることによって照射によって誘導されるEGFRのリン酸化はZD1839で、HER2/neuのリン酸化はTrastuzumabで抑制された。また、ZD1839はEGFRのリン酸化の抑制とともにHER2/neuのリン酸化をも抑制した。AktとMek1/2の照射による活性化も、ZD1839とTrastuzumabを併用することで抑制された。いずれの阻害剤も放射線増感効果を示したが、二重阻害では相乗的な放射線増感効果が認められた。 2)子宮頸癌放射線治療のマイクロアレイ解析 放射線治療を施行した子宮頸部扁平上皮癌31例(X線単独治療11例、化学放射線治療13例、炭素イオン線治療7例)の治療前/中の生検材料を用いてマイクロアレイ解析を行った。この結果、治療法別に放射線照射によって誘導される遺伝子はその種類・数が異なっていることが解った。さらに、ANOVAによるクラスター解析では、300程度の遺伝子を用いることで各治療法別に群別化することが可能であった。治療に特有な遺伝子発現パターンを同定することで、その治療に重要なシグナル伝達経路を見つけ出せることが期待される。 3)子宮頸癌p73蛋白の放射線治療効果に対する影響 子宮頸癌47例の放射線治療前/中の生検材料についてp53、p73蛋白発現と放射線誘発アポトーシスの関係について免疫組織化学染色法で検討した。照射後1週後のアポトーシスは約2%の細胞で確認された。照射後のp53蛋白発現は36例で増強したが、11例では不変あるいは低下していた。p53発現の増強した症例では1週後のp53陽性細胞の割合が多い群で有意にアポトーシスが誘発された。一方、p53蛋白発現の増強がみられなかった症例では、照射1週後のp73陽性細胞の割合が多い群でアポトーシスの誘発が顕著であった。以上から、p73遺伝子は子宮頸癌症例の放射線誘発アポトーシスにp53機能を補う役割があることが示唆された。
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