2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療効果増強のための新たな分子標的の探索とその機構解明
Project/Area Number |
17016073
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三橋 紀夫 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (20008585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 哲夫 , 医学部, 准教授 (10261851)
前林 勝也 , 医学部, 講師 (60332350)
泉 佐知子 , 医学部, 助教 (50292602)
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Keywords | 放射線感受性 / 分子標的 / シグナル伝達 / 放射線増感 |
Research Abstract |
【目的と背景】放射線照射は癌細胞、特にEGFR高発現の癌細胞でEGFRの自己リン酸化と下流のシグナル伝達の活性化を誘導することが放射線抵抗性の一因と考えられている。しかし、照射によるEGFRの自己リン酸化の機序や自己リン酸化に伴って受容体の2量体形成が誘導されるかどうかは十分には明らかとなっていない。そこで、我々は照射によるEGFRの自己リン酸化と2量体形成について癌細胞を用いて検討した。 【方法】EGFRを発現しているヒト細胞(A431,A549,TE-1)を用いた。照射によるEGFRの自己リン酸化は抗EGFR抗体および抗HER2抗体による免疫沈降法ならびにウエスタンブロット、EGFRの局在変化や照射によるDNA損傷はH2AXを用いた蛍光抗体法で評価した。2量体形成の検索にはdithiobis-(sulfosuccinimdylpropionate)(DTSSP)を用いたChemical cross-linking analysis法によって行った。 【結果】A431細胞では2Gyの照射でEGFRの自己リン酸化と下流のシグナル活性化が認められ、それと同時に180-kDa EGFR monomerに加えて360-kDaのdimer形成が認められた。HER2による免疫沈降法ではEGFRのホモ2量体形成に加えて、HER2とのヘテロ2量体形成も確認された。ホモ2量体形成はEGFRの特異抗体であるC225で阻害された。受容体の活性化に伴ってEGFRの核移行が観察され、C225で核移行を阻害することで、DNA損傷修復過程の修飾が認められた。 【考察】照射によるリガンド非依存的なEGFRの自己リン酸化には受容体の2量体形成も誘導され、それが受容体の活性化や局在変化およびDNA損傷修復過程に関与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)