2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子およびドラッグデリバリーシステムのがん臨床応用をめざす研究
Project/Area Number |
17016087
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
松村 保広 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), がん治療開発部), 部長 (90209619)
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Keywords | ミセル / タキソール / SN-38 / CPR-11 / VEGF / NK105 / NK102 / 遺伝子デリバリー |
Research Abstract |
NK012(NK)はCPT-11(CPT)の活性体であるSN-38のミセル内包体である。NKは肺がんや大腸癌の皮下移植モデルにおいて著しい抗腫瘍活性を示すことを明らかにした(Cancer Res 2006)。今回、ヒト大腸癌における標準化学療法の一つである、5-FUとCPTの併用療法(5-FU/CPT)と5-FU/NKとの抗腫瘍効果の比較検討を行った。ヌードマウスにHT-29ヒト大腸がん皮下移植し、併用治療実験を行った。NKもCPTも5-FU静注24時間前に静注された。併用治療は週1回、計3回行われた。また、in vitroでの併用効果をcombination indexで示した。In vivoにおけるNKおよびCPT投与後のFACS解析を行った。その結果、最大耐量(MTD)は5-FU/NKについては5-FU50mg/kg、NK10mg/kgであった。5-FU-CPTについては5-FU50mg/kg、CPT 50mg/kgであった。それぞれのMTD量で治療実験を行った結果、5-FU-NK群において、すべての腫瘍の消失を認めた。一方、5-FU-CPT群は、抗腫瘍効果は認めたものの、再増殖した。In vitroにおいては両者とも相乗効果を示した。In vivo細胞周期解析ではNK投与群において、より高い、より長いS期集積を認めた。以上、5-FUINKの全腫瘍を消失させる力は、一部NKによる有意に高いS期集積性にもよると考えるが、それだけでは説明がつかず、圧倒的な抗腫瘍効果の差違はNKの腫瘍への高い集積とその後のSN-38の効率よい徐放がおき、腫瘍組織内全体へのSN-38の高濃度の分布によるものと考えた。結論として、著しい抗腫瘍効果をもたらすDDS製剤の条件として、がん組織への高濃度の集積のみでなくその後の中味の抗がん剤のリリースをいかに効率よくするかということが重要であると考える。
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