2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子およびドラッグデリバリーシステムのがん臨床応用をめざす研究
Project/Area Number |
17016087
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
松村 保広 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん治療開発部, 部長 (90209619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 史乃 独立行政法人理化学研究所, 中央研究所, 研究員 (60300901)
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Keywords | ミセル / タキソール / SN-38 / CPT-11 / VEGF / NK105 / NK102 / 遺伝子デリバリー |
Research Abstract |
DDS製剤はその高分子ゆえに正常血管からは漏出せずに、血管透過性の高い腫瘍血管から漏出するので、腫瘍選択的集積性がえることができる。しかしながら、一旦集積したDDS製剤はどのように腫瘍内に拡散し、あるいは中身の低分子抗がん剤をリリースするか、よく検討されていない。ところで、動物実験系の皮下腫瘍はその脈管は一般に腫瘍血管に富む。かつ、腫瘍間質がヒトの上皮系がん組織とくらべて非常に少ない。このことはDDS製剤にとっては腫瘍内拡散が効率よく行われるので都合がいいことではあるが、実際のヒトの上皮系がんは必ず間質が存在し、特に膵がん、胃がんで豊富である。この間質は薬剤の拡散という観点からはバリアとしてもとらえられる。 本年度は、SN-38内包ミセルNK012について、同所移植モデルにおける薬効評価を行った。ルシフェラーゼ強制発現のヒト胃がんおよび膵がんの同所移植モデルを作製した。病理組織学的に血管に乏しく、間質に富む、それぞれのヒトがんに類似した形態であった。これらの実験モデルにおいて、臨床応用されているSN-38のプロドラッグであるCPT-11と薬効試験の比較をした。両方のモデルにおいて、NK012が有意にすぐれた抗腫瘍効果をしめした。また、毒性的にも、同じ実験スケジュールで投与された、マウス小腸において、CPT-11は著明な粘膜病変がみとめられたのに対し、NK012においてはまったく認めなかった。 薬理学的にはCPT-11が投与後2-3時間のうちに腫瘍内から消失してしまうのに対し、NK012は数日間腫瘍内にて高濃度をしめしていた。SN-38はその抗腫瘍活性が時間依存性であるので、NK012の長時間および高濃度の腫瘍内集積と集積後のSN-38の効率よい徐放は理にかなっていると考えた。
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Research Products
(29 results)