2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016089
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 室長 (70333391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 邦夫 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 室長 (10227407)
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Keywords | マイナー組織適合抗原 / 移植片対白血病効果 / 移植片対宿主病 / 同種造血細胞移植 / 細胞傷害性T細胞 / 発現クローニング法 |
Research Abstract |
造血器腫瘍に対して免疫療法を行う際、より多くの日本人患者を対象としうるように、種々のHLAアリルに拘束される血液系細胞特異的マイナー(組織適合)抗原をコードする遺伝子を同定することが本研究の目的である。 (1)HA-1マイナー抗原の新たな拘束性HLAアリル・エピトープの同定:欧米人の6割が有するHLA-A^*0201に拘束されるHA-1は免疫療法の標的として有望視されているが、A^*0201の陽性率は日本人の2割弱に過ぎないため、HA-1遺伝子にコードされる新たなマイナー抗原の同定を試みた。HA-1のアミノ酸多型が抗白血病効果方向に不適合のある移植を受けた患者の末梢血を、HA-1エピトープ配列を中央に含む計29-merからなるペプチドを用いて刺激した。得られた細胞傷害性T細胞(CTL)クローンの拘束性HLA型はA^*0206と判明した。日本人の15%がA^*0206を持つことにより、HA-1の日本人における臨床応用可能性は従来の約2倍となった。 (2)HLA-B44拘束性の新規マイナー抗原の同定:HLA-B44拘束性のCTLクローンを指標として、発現クローニングにより同定された遺伝子はserpinドメインを持つ機能不明のESTと一致し、HUGOより新たにHMSDと命名された。このマイナー抗原は、イントロン2のスプライスドナー部位に存在する遺伝子多型に依存した選択的スプライシングの結果として生成されることが判明した。HMSDの発現は、骨髄性白血病、多発性骨髄腫で高かったが、正常細胞では活性化された造血細胞にのみ発現を認め、移植後の抗白血病・骨髄腫効果の増強のための良い標的となると考えられた。このマイナー抗原に特異的なCTLは、免疫不全マウスにおける白血病細胞の生着を完全に阻害しえたことにより、本マイナー抗原は白血病幹細胞にも発現していることが明らかとなった。
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