2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016089
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 Fujita Health University, 医学部, 准教授 (70333391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 邦夫 浜松医科大学, 感染症学講座・生体防御部門, 准教授 (10227407)
葛島 清隆 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍免疫学部, 部長 (30311442)
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Keywords | マイナー組織適合抗原 / 移植片対白血病効果 / 移植片対宿主病 / 同種造血細胞移植 / 細胞傷害性T細胞 / 全ゲノム解析 / 国際HapMap計画 |
Research Abstract |
造血器腫瘍に対する同種造血細胞移植後の再発を予防・治療する際に選択的抗腫瘍効果をもたらしうる免疫標的として、血液系細胞特異的マイナー(組織適合)抗原の有用性と安全性を評価する。マイナー抗原にはHLAやマイナー抗原頻度の制約があるため、さらに多くの患者を対象とできるよう新規マイナー抗原を同定し、その臨床的意義を検証する。 昨年度、HapMapに登録されたEBV不死化B細胞株(LCL)の細胞傷害性試験結果と各LCLのSNP型データの関連解析を行うことで、迅速に責任SNPを決定する方法を開発し報告したが、本年度は国際間の共同研究として、米国シアトルのFred Hutchinson癌研究所で実際に移植後再発患者に養子免疫療法として投与された細胞傷害性T細胞(CTL)の標的抗原の同定を試みた。 HLA-A29拘束性cTLは相関解析により12q24に存在するP2RX7遺伝子の多型部位を認識していた。P2RX7は血液細胞のみならず肺胞上皮にも強く発現していることが免疫染色で確認され、本症例でCTL輸注後に合併した肺GVHDの原因は輸注CTLによる肺への直接毒性と考えられた。同様に、HLA-B^*4001拘束性のCTLの標的抗原をDPT1遺伝子上の多形部位に同定した。Fred Hutchinson癌研究所では、CTLクローン樹立後に標的抗原の同定を行わず、限られた組織由来の細胞に対する細胞障害活性だけで血液細胞特異性を規定しており、今回の知見はそのクライテリアの安全性を覆す結果となった。以上より、免疫療法を安全に施行するには抗原遺伝子の同定と、その組織分布の検索が必須であることが示された。さらに、HapMapリソースを用いた新規マイナー抗原の同定法は今回対象となった2つのCTLの抗原遺伝子を確実に同定し、本法の安定した有用性を確認できた。
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