2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子パスウェイ・ネットワークの定量計測技術と攪乱法の開発
Project/Area Number |
17017004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 隆司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90201326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀藤 圭治 明治大学, 農学部, 講師 (40345632)
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Keywords | 遺伝子発現 / 転写開始点 / GIS-PET / 次世代シーケンサ / 定量プロテオミクス / ユビキチン化 / FRET |
Research Abstract |
1.遺伝子発現 大腸菌へのクローニング操作を一切経ずに、次世代シーケンサを用いて転写開始点と終結点の同定と発現レベルの計測を行うクローニングフリーのGIS-PET法の開発を更に進めた。具体的には、1)テンプレートスイッチ法の導入、2)ウラシルDNAグリコシレースによるoligo-dT/dUプライマーの除去、という大きな技術的改良点を導入することで、昨年度までの問題点を解決し、実用的な手法の確立に成功した。実際に、この手法を用いて、出芽酵母の転写開始点および終結点に関する大量データの取得に成功した。 2.蛋白質相互作用 安定同位元素標識による定量プロテオミクスの手法を応用して、出芽酵母SCF型ユビキチンリガーゼ複合体によるユビキチン化システムの解析を行なった。その結果、基質認識ユニットF-box蛋白質の共通ユニットへの取り込みが変化することで、このシステム全体の再構成が起こる様子を初めて明らかにすることに成功した。 3.蛋白質翻訳後修飾 出芽酵母の脱ユビキチン化酵素全16種の遺伝子破壊株について、独自に開発したSILAC-PAP-MS法を適用することで各酵素の基質候補を同定し、酵素-基質ネットワークを明らかにした。更に、特に興味深い酵素-基質関係については個別解析による検証を行った。脱ユビキチン化酵素については、そのほとんどに関して基質が同定されていなかったことから、ユビキチン化システムの理解を進める上での重要な基盤データになると期待される。 4.代謝物視覚化 細菌ペリプラズム結合蛋白質に円順列変異を導入したものを骨格とすることでダイナミクスレンジを拡張するという独自で汎用性の高い代謝物FRETセンサー構築法を確立した。
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