2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17017007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森下 真一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90292854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬々 潤 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 科学技術振興特任教員 (40361539)
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Keywords | 表現型 / バイオインフォマティクス / 画像処理 |
Research Abstract |
遺伝子機能を推定するための近代的なアプローチとしては、野生株から変化した表現型をもつ株における遺伝子発現を網羅的に観測し、得られる大量データをクラスタリング等のバイオインフォマティクス技術(特にデータマイニング技術)により処理する方法論がある。我々は表現型変化の定量化、遺伝子型の定量化、データマイニング技術について研究を行った。 野生株と異なる表現型を観測するための伝統的な方法は、交配を工夫し、突然変異体が得られた後は、その原因遺伝子を推測することであった。このように突然変異を引き起こす『原因』をつくる実験はゲノム解読が始まる以前から行われてきた。しかしゲノム配列の操作は『原因』そのものを著しく変化させることを可能にする。たとえば遺伝子がコードされている場所を推定し特定の遺伝子コード領域を破壊して遺伝子を消去した生物のふるまいを観察したり、遺伝子を蛍光する物質をゲノム中に追加して蛍光された遺伝子が細胞内で働く様子を直接観測したり、細胞内で働いている遺伝子の動きを阻害したときの効果を観測できるようになった。 ゲノムや遺伝子を操作した結果得られる表現型が野生型に対してどのように変化しているかの判断は研究者の主観に委ねられることが多い。しかし微小な変化を同定することは難しい。さらに変化を同定できたとしても、変化がどれだけ類似しているか否かについての判断も主観的で、研究者の経験に左右される。したがって変化の類似性により表現型をグループ分けしたとしても、各表現型グループが遺伝子発現やタンパク質相互作用等の遺伝子型とどのような相関をもつかについて正確な結論を得るのは厳しい。客観的で説得力ある結論を導こうとするならば、表現型を定量化する方法を確立することが不可欠である。このような動機から本研究では、遺伝子操作により引き起こされる表現型を定量化するソフトウエア構築法を提案した。
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