2005 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤゲノムにおける5'スプライスリーダー配列をもつmRNAの網羅的解析
Project/Area Number |
17017020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 ゆたか 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40314174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 矩行 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30025481)
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Keywords | トランススプライシング / スプライスリーダー / Ciona intestinalis / ホヤ / 完全長cDNAライブラリー |
Research Abstract |
ホヤのmRNAの一部はその5'末端にトランススプライシングによってスプライスリーダー配列をもつことが明らかにされている。そこで、オリゴキャッピング法によって完全長cDNAライブラリーを作製し、そこから5000個あまりの5' ESTを得て、約50%の遺伝子がトランススプライシングを受けることを明らかにした。また、実際にホヤの遺伝子の一部はポリシストロニックな転写産物を生成し、トランススプライシングによってモノシストロニックなmRNAとなることを確認した。このような現象は線虫など他のトランススプライシングを行う動物でも知られている。他の動物ではポリシストロン内の遺伝子間距離は100塩基程度であることが多いが、ホヤの場合遺伝子間距離が0であることを見いだした。 われわれを含め、いくつかの遺伝子モデルセットが公開されているが、どれもその精度は十分ではない。遺伝子間距離が0の遺伝子群の存在はこれまで想定されておらず、既存の遺伝子予測プログラムでは対応できないことが一つの大きな要因である。したがって本研究で明らかになるEST情報をもちいることによってその精度は飛躍的にあがることが期待できる。一方、それにともない、既存の遺伝子予測プログラムにこのEST情報を反映させる情報学的な解決方法を探る必要が生じている。 ゲノムワイドな遺伝子機能の解析は正確な遺伝子のカタログ化が前提であり、その意味でも本研究の果たす役割は大きい。また、冒頭でも述べたように発生における転写制御のメカニズムをゲノムワイドに考える上では遺伝子の5'末端を正確に知ることが不可欠であるが、ホヤの遺伝子の約半数がトランススプライシング遺伝子であることから本研究をさらに推進していくことがホヤの発生における発生システムの理解に重要であることが明らかである。
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