Research Abstract |
代表者(相垣)と分担者(上田)は,GS系統,およびRNAi系統を用いて,遺伝子強制発現,およびノックダウンしたときの翅画像の収集を行った。画像データを解析し,各種パラメータを取得した。翅の大きさは細胞の増殖や成長と密接な関連にあり,少なくとも,大きさに影響を与える遺伝子の中には,インスリン/IGFシグナル系に関わる遺伝子が含まれていた。インスリンシグナルは,組織の大きさを制御するとともに,ストレス耐性や寿命とも関わっていることが知られている。そこで,遺伝子強制発現による酸化ストレス耐性の表現型と翅の大きさとの関連を解析した。比較的安定したストレス耐性を示すものとして,約20個の遺伝子を同定した。これらについて,翅の大きさにどのように影響があるかを調べたところ,95%の系統において翅を小さくする方向に作用しており,体の大きさとの逆相関が認められた。原因遺伝子がインスリン経路といかなる関係にあるかは不明であるが,少なくともこれらの系統では,体の大きさを小さくするとともに,ストレス耐性を強化したと考えられる。分担者(林)は,ライブイメージング技術を駆使して,ショウジョウバエ胚において外胚葉と胚体外細胞層(amnioserosa)の組織間相互作用を解析した。細胞聞マトリクスレセプターインテグリンの変異体におけるタイムラプス解析から,変異体はいったん深刻な上皮の開裂が起きるがその後損傷部位の修復反応が活性化されて最終的な表現型は比較的軽度に回復することがわかった。
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