2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエゲノムの改変による表現型情報の統合的解析
Project/Area Number |
17017032
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
相垣 敏郎 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 教授 (80150879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 茂生 理化学研究所, CDB, グループデイレクター (研究職) (60183092)
上田 龍 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (40353429)
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Keywords | 遺伝子強制 / RNAi / 表現型 / 形態 / ストレス感受性 / 画像データ / 組織サイズ / ライブイメージング |
Research Abstract |
1)GS系統、およびRNAi系統を用いて、遺伝子強制発現、およびノックダウンしたときの翅画像の収集を行った。画像解析ソフトウェアを使って、翅脈の交点間の距離を測定し、各種パラメータを取得した。約3,000のGS系統については、酸化ストレスに対する抵抗性について測定を行い、それらの表現型と翅の大きさとの関連を解析した。比較的安定したストレス抵抗性を示すものとして、約20個の遺伝子を同定した。これらについて、翅の大きさに及ぼす影響との関係を調べたところ、95%の系統において翅を小さくする方向に作用していた。このことは、原因遺伝子がインスリン経路といかなる関係にあるかは不明であるが、体の大きさとストレス抵抗性の間に負の相関関係があることを示唆した。 2)原癌遺伝子Srcのショウジョウバエホモログの機能解析を行った。まず相垣班員の確立したGS系統を用いたスクリーニングで細胞接着を不安定化する因子としてSrcを同定した。そしてSrcが細胞接着分子の動的な入れ替わりに関わる事を生体内における定量的蛍光イメージング技術(FRAP)を用いて明らかにした。またSrcがArmadillo(beta-catenin)と共同して細胞接着を維持する機構を明らかにした。この結果はSrcが癌化だけではなく正常発生においても細胞接着制御に深く関わることをしめすものである。動物個体を用いたタイムラプスイメージングには蛍光の褪色、組織のランダムな動きによるROIの移動、大量の三次元像の扱いの難しさなどの問題がある。これらの問題について議論し、解決策となりうる画像処理ツールを開発した。 3)ショウジョウバエゲノムの転写開始点の情報を収集し、そのデータベースを作製した。サンプル間のTSS分布の違い、トランスポゾン挿入地点とTSSの関係について解析中である。
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