2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17018006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20143357)
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Keywords | 霊長類 / ゲノム / 反復配列 / 単一アミノ酸リピート / SCA1 / Hoxd-13 |
Research Abstract |
ヒトにおいてCAGトリプレットリピートによってコードされるグルタミンリピートを1ヶ所だけにもつSCA1遺伝子について、4属5種の類人猿、7属13種の旧世界ザル、5属7種の新世界ザル、2属2種の原猿について、それらの遺伝子構造を解析した。この結果、グルタミンリピートそのものは旧世界ザルから出現しているものの、その基本構造は新世界ザルから、すなわち真猿類において現れたこと、ヒトにおいてグルタミンリピートは多くの場合ヒスチジンによってリピート構造の連続性が遮断されているが、このヒスチジンによる遮断は大型類人猿の共通祖先で生じたこと、その後、それぞれの系統でされに独立にヒスチジンによる遮断が複数回生じてきたこと、を明らかにした。また、テナガザルではCAGトリプレットリピートがCATに置換することによって生じるヒスチジンによる遮断ではなく、コードするアミノ酸自身は同じグルタミンであるがCAGがCAAに置換することによる単純リピート構造の遮断が生じていることも明らかとなった。アラニン単一アミノ酸リピート構造をもつHox13転写因子に着目し、単一アミノ酸リピート構造の機能的な進化上の意義を探った。ヒトのHoxd-13転写因子の転写活性化ドメイン上に存在するアラニン単一アミノ酸リピート構造は、上記霊長類を含め、ほぼすべての哺乳類において非常によく保存されていた。しかし、哺乳類以外の脊椎動物との間では保存性は低かった。そこで、哺乳動物群に特異的に存在するHoxd-13転写因子のアラン単一アミノ酸リピート構造の機能的意味を探るために、このアラニン単一アミノ酸リピート構造を人為的に完全欠失させたノックインマウスの作成し、四肢の形態に着目した解析をおこなっている。
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