2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17018006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (20143357)
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Keywords | 霊長類 / ゲノム進化 / 反復配列 / 単一アミノ酸リピート / SCA / HOX |
Research Abstract |
霊長類における単一アミノ酸リピート構造の多様性とその進化動態ならびに機能的意味に関して以下の成果を得た。(1)ヒトにおいてCAGトリプレットリピートによってコードされるQリピートをもち、その異常なリピート回数の拡張によりataxiaを引き起こすSCA3およびSCA17遺伝子について、4属5種の類人猿、7属13種の旧世界ザル、5属7種の新世界ザル、2属2種の原猿について、それらのリピート構造を解析し、SCA3遺伝子のグルタミンリピートは霊長類の共通祖先で既に獲得されていたこと、リピート構造の連続性生の遮断は同義置換、非同義置換を問わず頻繁に生じており、各系統群に特有な遮断が生じてきたことを明らかにした。一方、SCA17遺伝子のグルタミンリピートの出現は霊長類の分岐以前、おそらくは哺乳類の共通祖先で生じていたことを明らかにした。また、リピート構造の連続性の遮断は同義置換のみが観察され、非同義置換による遮断は観察されず、SCA17遺伝子のグルタミンリピートが単純反復配列(同義配列のみ)であることの生物学的必要性が示唆された。(2)ヒトのHoxd-13転写因子の転写活性化ドメイン上に存在するアラニン単一アミノ酸リピート構造は、ほぼすべての哺乳類において非常によく保存されているが、哺乳類以外の脊椎動物との間では保存性は低い。そこで、哺乳動物群に特異的に存在するHoxd-13転写因子のアラニン単一アミノ酸リピート構造の機能的意味を探るために、この中の一つのアラニン単一アミノ酸リピート構造を人為的に欠失させたノックインマウス"を作出した.小動物用の特殊CT等を用いた詳細な解析をおこなった結果、前肢の形態小変異に関与していることが明らかとなった。また、変異型対立遺伝子の効果は量的であることを示唆する結果も得た。
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