2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17018006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 信太郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (20143357)
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Keywords | 霊長類 / ゲノム進化 / 反復配列 / 単一アミノ酸リピート / SCA / 脊髄小脳変性症 |
Research Abstract |
ヒトにおいて連続して7残基以上同一のアミノ酸が並ぶ"単一アミノ酸リピート構造"を、(a)哺乳動物全般において保存されている"単一アミノ酸リピート構造"、(b)霊長類の中では保存されている"単一アミノ酸リピート構造"、(c)霊長類の中で変異が見られる"単一アミノ酸リピート構造"、に分類し、霊長類を含む哺乳動物に関しての網羅的比較をおこなった結果、いずれにおいても、ヒトで見られた"単一アミノ酸リピート構造"の特徴である、(1)グルタミン酸、グルタミン、ロイシン、プロリン、アラニン、グリシン、セリン、それぞれのアミノ酸残基からなる単一アミノ酸リピートが多数を占めていること、(2)その多くは転写ならびに翻訳に係わっている遺伝子であること、しかし、(3)それぞれのアミノ酸残基が占める割合は各群で大きな差異が存在することを明らかにした。さらに、disorder領域を取りやすい"単一アミノ酸リピート構造"の有無を検索した結果、おおきく3つのアミノ酸残基グループに分けられた。そこで、上記(a)〜(c)群についてタンパク質中のdisorder領域の割合分布を調べたところ、各群間に違いが、とくに、「霊長類の中で変異が見られる"単一アミノ酸リピート構造"」である(c)群においてdisorder領域の割合分布が他の2群と大きく異なっていることが明らかとなった。次に、脳に特異的に発現しているBrain-2転写因子の単一アミノ酸反復配列のうちで哺乳動物に特徴的な複数の単一アミノ酸反復配列のみを人為的に完全欠失させたノックインマウスの作出をおこない、基本的行動指標としての自発活動量を測定したところ、単一アミノ酸リピート欠失の雌ホモ個体で明期の活動量が統計学的に有意に低くかった。そこで、エタノール誘発性睡眠時間の測定をおこなった結果、脳内のドーパミン量が低くなっていることが示された。
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