2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17018015
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80281012)
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Keywords | 霊長類 / 脳神経 / 進化 / 遺伝子 / DNAアレイ / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
ヒトへの類人猿や旧世界猿からの進化を考える上で、脳の進化は最も重要な要素のひとつとして挙げられる。本研究では、ヒト脳機能に関わるトランスクリプトーム(mRNA)を同定することでヒト特有の脳機能の遺伝子基盤を探求し、進化的裏づけを取ることを目標とする。その中で今年度は下記のようなサンプル収集や実験系の予備評価を実施した。 1.ヒト剖検脳の収集と品質評価; 順調にヒト脳の収集は進んでいて品質検査も実施している。ヒトでは高齢のケースが多いので、今後、他の機関にも紹介しサンプル間の年齢を出来るだけ一致させるようにしたい。 2.霊長類の脳サンプルの収集と品質評価; バイオリソースプロジェクトや京都大学霊長類研究所にも登録して、自然死にともなう解剖事例の連絡をいただいている。その結果、チンパンジー(1件)、日本ザル(1件)、カニクイザル(3件)、アフリカミドリザル(3件)からのサンプリングが完了した。 3.ヒトDNAアレイを用いたサル脳トランスクリトーム解析の予備実験; 長い合成オリゴを用いた蛍光DNAアレイを使うと、約8割のヒト遺伝子がカニクイザルやアフリカ緑ザル脳のRNA対し同レベルのシグナルを示した。逆に一致を見なかった遺伝子群には、ジンフィンガー蛋白やスモールG蛋白が存在する。一方、ヒト用GENEチップは、ヒト脳RNAに対し56%の遺伝子に発現が確認されたが、サル脳では37%の遺伝子しか有効シグナルを出さないことが判った。 4.データベースを用いた脳進化候補遺伝子の検索; ヒトとサル前頭前野でRNAシグナル変動していた遺伝子群にジンクフィンガー蛋白がある。このジンクフィンガー蛋白は300遺伝子を超えて存在し、哺乳類の進化過程においてそのゲノムは多くの欠失、挿入、変異を呈し、霊長類にしか存在しないオルソログも100を超えことが判明した。
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