2008 Fiscal Year Annual Research Report
メダカゲノム情報にもとづく脊椎動物染色体再編の比較ゲノム解析
Project/Area Number |
17018016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀 寛 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (60116663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 啓志 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70181922)
佐々木 貴史 慶応大学, 医学部, 助教 (70306843)
金森 章 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40324389)
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Keywords | メダカ / ゲノム / 染色体再編 / 比較ゲノム / BACライブラリー |
Research Abstract |
この研究課題では、先の特定研究(ゲノムC)で明らかにされたメダカWGS(whole genome shotgun sequencing)による全ゲノム概要配列の情報を利用し、魚類を中心にした脊椎動物染色体再編の比較ゲノム解析を行うこと、さらにメダカが脊椎動物のモデル動物の一つとして、マウス同様にヒトの遺伝病のモデルとなりうることを多くのメダカ突然変異体を解析することで証明することが目的である。 昨年度あきらかにした「魚類のゲノムが哺乳類ゲノムよりも倍数化がすすんでいること、特に形態形成制御の転写遺伝子群であるhox遺伝子クラスターが、哺乳類のhox遺伝子群は4クラスターであるのに、メダカやフグなどの硬骨魚類は7クラスターとなっており、倍数化によるクラスター間の機能分化がおきていること」について、本年度はさらに解析を20年度には解析をすすめた。その結果, hox遺伝子群のなかで, abdB遺伝子群とよばれるhoxA9, hoxA10, hoxA11, hoxA12, hox13についてマウスやトリの遺伝子とメダカの遺伝子の発現比較が可能であった。これらの遺伝子はマウスやトリでは手足の原基である肢芽で発現し、各遺伝子が相互に特異な階層発現することで、指や下腕、上腕の方向性を決めると言われている。メダカ肢芽においてもよく似た階層構造発現が確認されたが、発現軸のズレがあることと、このような発現をするのは重複したhoxAb群のみであり、hoxAa群の遺伝子は別の発現をしめした。しかもhoxAb群が間充組織に発現したのに、hoxAa群は筋原基に発現しており、遺伝子重複によって。発現パターンの分化がおきていることが確認された。すくなくともhox遺伝子群については重複により哺乳類よりも魚類のほうが、より進化、複雑化した支配体系を獲得したらしい。 またメダカの性分化におけるfig-alpha遺伝子の発現解析をおこなった。この遺伝子はメス化の最初期に発現される転写因子で、この発現がメダカのメスの胚芽期での減数分裂を支配していることが期待される。今回はフグのfig-alpha遺伝子の上流領域10Kbを切り出し、これをメダカ遺伝子に結合し、メダカ卵に遺伝子導入することで、フグとメダカ間での相同な発現調節領域を確認をした。その成果は論文としてまとめられ、発表された。
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