2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17018019
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩部 直之 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80263060)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 博幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70192656)
隈 啓一 京都大学, 化学研究所, 研究員(客員助教授) (10221938)
|
Keywords | 分子進化 / 多細胞化 / 立襟鞭毛虫 / ゲノム / 分子系統樹 / 生物多様性 / シグナル伝達系 / データベース |
Research Abstract |
国立情報学研究所・藤山秋佐夫教授および国立遺伝学研究所・小原雄治教授の両研究グループの協力のもと、立襟鞭毛虫の一種物Monosiga ovataのゲノムDNA精製およびゲノムDNAライブラリー(BAC, fosmid)の作製を行い、ホールゲノムショットガン(WGS)法によるゲノム全塩基配列決定を進めた。小原教授の研究グループの協力のもと、M.ovataのゲノム部分配列(WGSデータの初期アセンブリーによるcontig)を用いた予備解析を行った結果、以下のことが明らかになった。(1)ゲノムG+C含量は約57%である。(2)反復配列が非常に多く、イントロンに2塩基単位の反復配列が多く観察される。(3)イントロンは比較的短いものが多く、平均長は100塩基前後と推定される。(4)ゲノムサイズは、当初の推定値である約1.5〜2億塩基対よりも小さい(1億塩基対以下)可能性がある。東京大学の菅野純夫教授および藤山教授の両研究グループの協力のもと、M.ovataの完全長cDNAライブラリーを作製した。現在、小原教授の研究グループの協力のもと、完全長cDNAライブラリーの大量配列決定を進めている。大阪大学・岡田雅人教授の研究グループと共同で、M.ovataおよび海綿動物(カワカイメン)のチロシンキナーゼSrcとCSKの機能解析を進め、立襟鞭毛虫と動物のこれら遺伝子産物の共通点や相違点を明らかにした。昨年度に引き続き、ゲノム比較を行う上で必要となるデータベースの整備を進め、シグナル伝達系・細胞接着・転写制御・アポトーシスに関与する遺伝子群を中心とする「多細胞化関連遺伝子データベース」のプロトタイプを作製した。このデータベースには、ゲノム配列が決定された真核生物の遺伝子に関する情報や近隣結合法によつて推定された分子系統樹の情報なども掲載されている。M.ovataのゲノム配列決定の進展に伴い、動物の多細胞化を遺伝子レベルから理解するための重要な情報が得られつつある。
|
Research Products
(3 results)