2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17018019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩部 直之 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (80263060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 博幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70192656)
隈 啓一 国立情報学研究所, 戦略研究プロジェクト創成センター, 教授 (10221938)
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Keywords | 分子進化 / 多細胞化 / 立襟鞭毛虫 / ゲノム / 分子系統樹 / 生物多様性 / シグナル伝達系 / データベース |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、国立情報学研究所・藤山秋佐夫教授および国立遺伝学研究所・小原雄治教授の両研究グループの協力のもと、立襟鞭毛虫の一種Monosiga ovataのゲノムDNAライブラリー(BAC, fosmid)を用いたホールゲノムショットガン(WGS)法によるゲノム全塩基配列決定を進めた。また、東京大学の菅野純夫教授、藤山教授、小原教授の各研究グループの協力のもと、M. ovata完全長cDNAの大量配列決定も進めた。なお、M. ovataのゲノム部分塩基配列データおよび完全長cDNAの配列データについては、2007年12月に、DDBJより公開した。東京大学の森下真一教授の研究グループの協力のもと、M. ovataのゲノム部分塩基配列データを用いた解析を行った結果、(1)ゲノムG+C含量は約57%、(2)反復配列が非常に多く、イントロンに2塩基単位の反復配列が多い、(3)イントロンは比較的短いものが多く、平均長は100塩基前後、(4)ゲノムサイズは、当初の推定値である約1.5〜2億塩基対よりも小さい(4〜6千万塩基対)可能性があることが明らかになっている。また、同ゲノム部分配列データを用いて、(1)各種生物のゲノムおよび遺伝子に対する網羅的相同検索、(2)タンパク質の各種ドメインに関する(Pfam Hidden Markov Modelを用いた)相同性検索、(3)シグナル伝達系・細胞接着・転写制御・アポトーシスに関与する遺伝子群についての網羅的系統樹推定(近隣結合法による予備的解析)、(4)M. ovataゲノムに多数存在するカドヘリン関連遺伝子のドメイン構造推定、(5)上記解析結果を閲覧できるデータベース(仮称:DAGMAN)およびブラウザの試作などの予備的解析も行った。その結果、シグナル伝達系関連遺伝子(PTK, PTP, PLC, PDEなど)が多数存在することが強く示唆された。なお、接着因子、転写因子、アポトーシス関連遺伝子については、このような傾向は観察されなかった。
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