Research Abstract |
本研究の目的は,わが国のヒトゲノム研究推進のために,どの様な研究支援体制が必要であるかを明らかにすることである.必要とされる支援体制には共通する部分と研究対象とする疾患の頻度による固有の部分がある.本研究では,比較的頻度の高い「脳動脈瘤」と個々には頻度の低い「先天異常」を対象として検討した.その結果,前者のヒト試料収集に関する支援として,インフォームド・コンセント(IC)履行補助者の養成と派遣が最も望まれていて,効果的であることがわかった.海外におけるゲノム研究支援状況をウェッブベースの質問票を駆使して調査した結果からも,収集ヒト試料の多い研究ほど,ICを含めた業務に補助者を多用していることがわかった.また,研究者からは補助者活用に関して,倫理面を含めて評価する意見が多かった.そこで,高頻度疾患に対応する医療現場では医療スタッフによる研究説明は,特にわが国では困難であることから,本研究プロジェクト終了後も継続できる認定制度のあり方を検討した.その結果,IC履行補助者をゲノム・メディカルリサーチコーディネーター(GMRC)と名付け,最終的に日本人類遺伝学会による養成認定制度とする事にした,その為に必要な到達目標,制度委員会規則,細則なども策定した.平成20年度中に暫定制度の認定および,第1回恒久制度の認定,平成21年度に第2回認定を実施した.恒久制度認定試験では合計113名受験,104名合格認定となった.現在,学習の機会を設け,更新制度設計の細部を検討している.一方,頻度の低い疾患に関する支援として,(1)専門外来を担当する医師の全国的なネットワーク構築,(2)解析結果情報の共有,(3)収集したヒト試料を将来にわたって有効に使用するための試料保存体制構築をおこなった.
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