2005 Fiscal Year Annual Research Report
臨床データとゲノム情報の統合を基礎とした疾患のシステム的理解と医療への応用
Project/Area Number |
17019008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸辺 一之 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30251242)
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Keywords | 生活習慣病 / 動脈硬化 / 一塩基多型 / データベース / 転写制御 / 虚血性心疾患 / 生命システム / ゲノム |
Research Abstract |
日本人の主要な疾患である心血管疾患と糖尿病を含む生活習慣病は、生活習慣などの環境因子と遺伝素因の各々が相互作用し、その結果システムとしての生命の営みに破綻を来たしている状態と捉えることができる。本研究計画では「生命システムの破綻」の表現型としての臨床情報を日常臨床の中から網羅的・体系的に収集することと、ゲノム研究・モデル動物などを用いた疾患のin vivo研究の知見を統合することによって、生命・疾患のシステム的理解を基盤とする個々人への最適で、安全かつ高効率な医療の提供を目指す。本研究計画の診療データベースの基盤となる臨床情報データベースを構築し、ゲノム解析に対応できる正確な臨床情報を蓄積・解析するためのシステム作りを進め、疾患名・薬剤名のマスターデータベースの作成、疾患名の登録基準の厳密な定義、標準入力項目を確実に集積するための入力インターフェイスの作成などを行った。本研究計画では、通常の臨床情報に加えて詳細な心臓カテーテル検査データをゲノム解析に活かすことも目的としている。そこで、従来からのカテーテルデータベースの見直しを行い、検査担当医によって解析に十分な情報を入力するシステム作りを行い、運用を開始した。構築した臨床情報データベース及び心臓カテーテル情報データベースを用い、実際にSNPの解析を行った。我々が心血管病の発症に重要なことを明らかとた転写因子KLF5のSNP解析を行ったところ、複数のSNPが冠動脈硬化重症度、高血圧、冠動脈形成術後再狭窄率などに関連することが明らかとなった。KLF5遺伝子のプロモーターに存在する高血圧症・冠動脈硬化重症度と関連するSNPがKLF5遺伝子の発現を制御するシスエレメントとして重要であることを見いだした。
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