2008 Fiscal Year Annual Research Report
臨床データとゲノム情報の統合を基礎とした疾患のシステム的理解と医療への応用
Project/Area Number |
17019008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 良三 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 教授 (60207975)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 一雄 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50359600)
森田 啓行 東京大学, 医学部・附属病院, 特任准教授 (60323573)
|
Keywords | 臨床情報 / ゲノム解析 / データベース |
Research Abstract |
臨床情報統合データベースシステムを日々更新改良する一方、データマネージャーを養成し、入力データの正確性確保につとめた。既に、3, 500症例以上のデータの蓄積を行った。2008年度は、心臓カテーテル検査データベースシステムと連動させ、データ入力の迅速化と正確化を図った。院内の情報を収集・解析するシステムとしては当初の目的を達成した。 構築した臨床情報データベース及び心臓カテーテル検査データベースを用いてSNP解析を行った。我々は転写因子KLF5を心血管系の外的ストレスに応じた組織リモデリングを制御する鍵分子として報告してきた。本研究では、まずKLF5転写ネットワークに関わる遺伝子群と、KLF5と同様に組織リモデリングに関わる遺伝子群の解析を行った。その結果、KLF5の5'隣接領域に冠動脈疾患発症と関連するSNPを見いだした。2種のgenotypesでKLF5プロモーター活性基礎値に差は見られなかったが、冠動脈疾患発症率の低いgenotypeでは、アンジオテンシンII刺激によるKLF5プロモーター活性化が著明に減弱しており、ストレスに応じたKLF5発現制御にとってこのSNPを含む領域が重要であると考えられた。このSNPはMEF2結合配列中に存在しており、冠動脈疾患発症が少ないgenotvpeでは、MEF2結合が見られなくなる。また、アンジオテンシンIIからMEF2、KLF5へと進む情報伝達経路に活性酸素のシグナルが重要であることも明らかにした。 ARID5Bは血管平滑筋の分化・脱分化、さらには脂肪細胞分化にもかかわる転写因子である。本遺伝子の4つのSNPsがハプロタイプを構成し冠動脈疾患発症と有意に相関するというデータを得た。さらに2型糖尿病とハプロタイプとの有意な相関、血中アディポネクチン濃度とSNPとの有意な相関を確認できた。 一方、2型糖尿病に関連する遺伝子多型としてAMPKαサブユニット遺伝子、HNF-4A遺伝子、TCF7L2遺伝子、HHEX遺伝子のSNP解析をおこない成果を公開している。
|
-
-
[Journal Article] A crucial role of a high mobility group protein HMGA2 in cardiogenesis2008
Author(s)
Monzen K, Ito Y, Naito Al, Kasai H, Hiroi Y, Hayashi D, Shiojima I, Yamazakl T, Miyazono K, Asashima M, Nagai R, Komuro I
-
Journal Title
Nature Cell Biology 10
Pages: 567-574
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Rationale and design of a study to examine lower targets for low-density lipoprotein-cholesterol and blood pressure in coronary artery disease patients2008
Author(s)
Nagai R, Izumi T, Kurabayashi M, Daida H, Tojo T, Hasegawa A, Miyauchi K, Hayashi D, Kohro T, Okada Y, Yamazaki T : JCADIL Investigators
-
Journal Title
Circulation Journal 72
Pages: 515-520
Peer Reviewed
-