2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌による致死的軟部組織感染症の発症機構の解明および予防・治療への応用
Project/Area Number |
17019021
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 徹 Kanazawa University, 医学系, 教授 (80235655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 郁 金沢大学, 医学系, 講師 (30377410)
中川 一路 東京医科歯科大学, 医歯薬総合研究科, 教授 (70294113)
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Keywords | ウェルシュ菌 / A群レンサ球菌 / ゲノム解析 / マイクロアレイ / 遺伝子発現調節 / オートファジー |
Research Abstract |
本年度は、遺伝子操作が可能な芽胞形成性・食中毒分離株であるウェルシュ菌SM101株のvirX変異株の作製を試み、ウェルシュ菌の芽胞形成へのvirXの関与を調べることを目的とした。約1年間のスクリーニングの後、catP遺伝子とのdouble-crossing-over相同組換えによるvirX変異株が得られ、周辺領域DNAのPCRによりvirXの変異を確認した。SM101のvirX変異株は、芽胞形成促進培地(Duncan Strong培地)で培養すると、培養途中から形態に異常が観察され、芽胞形成が途中で停止し太く細長い形態を示すことが明らかになった。さらにSM101のvirX変異株を通常芽胞形成の見られない高栄養培地で培養しても、明らかな芽胞形成が認められた。また従来ガス壊疽株として用いてきたstrain13のvirX変異株を芽胞形成培地にて培養したところ、わずかであるが芽胞形成を示す菌が出現し、形態的にも正常芽胞を作ることが判明した。これらのことは、ウェルシュ菌の芽胞形成がvirXによって負に調節されていることを示しており、クロストリジウム属菌の芽胞形成調節機構の一端が明らかになったと言える。 またA群レンサ球菌の解析においては、実際のレンサ球菌感染時における遺伝子発現の変化を調べるため、A群レンサ球菌を種々の細胞に感染させ,マイクロアレイにより,オートファジーによる分解が起こる感染後4時間まで1時間おきに細胞内のA群レンサ球菌の発現解析を行った.HeLa細胞に感染したA群レンサ球菌において,感染後,全ての時間で共通して高い発現を示した遺伝子数は128個,咽頭上皮由来のKyse510細胞に感染させた場合では72個であった.両方の細胞で共通かっ感染前の菌で発現が低かったのは,19個の遺伝子で,転写制御因子やRNA結合タンパク質がみられたが,60%程度が未知の遺伝子であった.今後これらの遺伝子の感染時における機能を解析し、人への感染に重要であるかどうかを判定する予定である。
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Research Products
(5 results)