2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム科学に対する一般市民、患者、研究者の意識に関する研究
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17019024
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山縣 然太朗 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (10210337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 香織 信州大学, 医学部, 講師 (50345766)
玉腰 暁子 国立長寿医療センター, 研究所・疫学研究部, 併任研究員 (90236737)
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Keywords | ゲノム / 全国調査 / リテラシー / 遺伝子 / ゲノム研究 / 意識 / 態度 / 科学リテラシー |
Research Abstract |
目的:一般市民のゲノム研究に関する意識調査の詳細分析を行なった。 結果: 1)ゲノム科学リテラシーに関する結果 本調査では、回答者の科学リテラシーを確認する手段として、ゲノム化学用語と他の科学用語の単語としての理解度(単語理解)、ゲノム科学用語と他の科学用語の文脈での理解度(文脈理解)、価値認知・リスク認知という3つの観点から、回答者の「ゲノム科学リテラシー」として得点化した。得点は、男性が20.7、女性が20.1で、男女差はなかった。男女とも30歳代が最も点数が高く(理解度が高く)、年齢が高くなると得点が低くなっていた。また、ゲノム科学リテラシー得点が高いと、ゲノム研究に関心がある人が増え、ゲノム研究を推進する傾向にあった。特に、ゲノム基礎研究でその傾向が強かった。 2)医療へ応用される研究の是非と協力 医療に応用される研究では、関心も高く推進賛成者が多かったが、研究推進のために自分の血液を提供してもよいと答えた人は39.1%に留まっていた。多項ロジットモデルをシミュレーションしてみると、仮に全員が21点満点になれば、「血液を提供したい」と答える人は78%まで上昇し、「わからない」と答える人はほとんどいなくなると考えられた。 結論:本研究結果から、リテラシーの高さと、研究に対する関心度合いや賛否の態度を決定できるかどうかには密接な関係があることがわかったが、それは学歴や遺伝学の教育歴とは必ずしも関係がなく、日ごろの情報取得にかかわりがありそうだということが明らかになった。市民がゲノム科学を理解するには研究成果が市民にわかりやすく情報提供されることが不可欠であるが、それを担うのはメディア(マスメディア、市民メディア)であるとともに、ゲノム科学研究者自身が市民とのコミュニケーションに手ごたえを感じられるような環境をよりいっそう醸成していく必要がある。
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