2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム科学に対する一般市民、患者、研究者の意識に関する研究
Project/Area Number |
17019024
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山縣 然太朗 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (10210337)
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Keywords | ゲノム / 全国調査 / リテラシー / 遺伝子 / ゲノム研究 / 意識 / 態度 / 科学リテラシー |
Research Abstract |
【目的】一般国民への大規模調査、広義の遺伝性疾患患者およびその家族への継続的かつ疾患横断的な研究、ゲノム科学研究者とゲノム医科学研究者に対する意識研究の3つを柱とし、ゲノム科学の推進および社会に応用される際の社会的基盤を整備するため、具体的な提言をすることを目的とする。 【方法】2005年、2008年、2009年に4000人規模の一般市民のゲノム研究に関する意識調査を実施した。2007年、2009年に2000人規模の研究者に対する調査を実施した。 【結果】ゲノムという言葉は約30%の人が全く知らなかったと答えており、他の遺伝学用語や科学用語に比べて認知度が低い。3回の調査で大きな変化はなかった。ゲノム研究への関心、推進の意思は高かった。ゲノム科学リテラシー得点が高いと、ゲノム研究に関心がある人が増え、ゲノム研究を推進する傾向にあった。関連する因子としてリテラシーのほかにイメージ、有益性の認知があった。疾患感受性遺伝子検査を受けたいとする人は50%を超え、薬剤応答性遺伝子検査は60%を超えた。科学コミュニケーションについて市民はテレビや新聞などのマスメディアによる情報を得ているが、研究者は講演会、インターネットなどによる情報提供を行っていた。ゲノム研究への市民の態度の構造を潜在クラス分析によって捉えることを試みた。3テーマに関する認知意向と推進賛否に関わる6変数の説明モデルとして5クラスタを想定した。それらは「積極推進派(40.8%)」「消極容認派(20.2%)」「判断不能派(18.4%)」「関心慎重派(16.5%)」「無関心・冷淡派(4.2%)」と命名可能な層であった。 【結論】ゲノムの認知は高くないが研究への期待は大きい。研究推進のためには市民のリテラシーを高め、理解を深めることが必要であり、市民ニーズに合わせた情報提供や理解を求める方法と環境の整備が必要である。
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Research Products
(2 results)