2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児癌由来遺伝子材料を基盤とした疾病関連遺伝子の探索と病態解明への応用
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17019066
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
大平 美紀 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 研究員 (20311384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 俊文 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 上席研究員 (40260252)
大羽 成征 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (80362838)
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Keywords | 遺伝子 / マイクロアレイ / 発生・分化 / 癌 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
神経・肝の発生分化における遺伝子発現ネットワークの解明と、神経芽腫・肝芽腫の発生および疾患メカニズムの解明を目指し、本年度は以下を進めた。 (1)小児癌チップに対する独自データベースの構築 これまでに同定した神経芽腫の予後の異なるサブセット間で発現量に差のある700個の遺伝子から、さらに重要なものを絞り込むため、小児癌チップを用いて、神経分化・細胞死の誘導時の発現プロファイルや、発現の組織特異性を検討し、データベース化した。神経系組織特異的に発現を示す遺伝子を156個同定し、マウス組織切片を用いた各発生段階の発現パターン解析を進めた。 (2)遺伝子の絞り込みと機能解析 上記700個の遺伝子のうち、今年度はLIM-only proteinのLMO3について詳細な解析を行い、増殖能の強い神経芽腫で有意に発現が上昇していること、bHLH蛋白質であるHEN2との結合により、神経芽腫において細胞増殖を亢進させOncogene様に機能すること、またこれら2つの遺伝子の高発現が、新たな予後不良因子として利用できることを示した。さらに、神経芽腫予後良好群で高い発現を示す新規遺伝子BMCC1の同定と神経芽腫の細胞死における機能についての解析を行った。その結果BMCC1は神経芽腫の分化・増殖の制御に関わっている可能性が示唆された。 (3)臨床検体を用いた発現解析とチップの臨床応用 本研究で作製したチップを臨床に活用するため、神経芽腫患者の予後と発現が強く相関する遺伝子を発現プロファイルから統計的に抽出し、上位200遺伝子を搭載した診断用チップを作製した。新規腫瘍サンプルの解析から本システムは約90%の予測効率を示したので、本年度は臨床における試行を開始し、約40症例について受託を行った。 (4)遺伝子発現プロファイルの特徴抽出 神経芽腫症例の発現プロファイルデータについて、進行度の異なる各サブセットのクラスターを抽出し、統計的手法を用いて神経発生・分化に関わるMASH1やMYCN等の転写因子群の発現パターンと同様のプロファイルを示す遺伝子群の探索を進めた。
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Research Products
(11 results)