2009 Fiscal Year Annual Research Report
生理学的、神経心理学的及び計算論的アプローチによる行動発現機構の統合的研究
Project/Area Number |
17021004
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
丹治 順 Tamagawa University, 脳科学研究所, 教授 (10001885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 匡子 山形大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20271934)
銅谷 賢治 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構, 大学院・大学先行研究プロジェクト・神経計算ユニット, 代表研究者 (80188846)
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Keywords | 神経生理学 / 神経心理学 / 計算論 / 統合的脳研究 / 脳高次機能 / 行動発現 / 研究提携 / 霊長類 |
Research Abstract |
脳生理学者と神経心理学者、脳の計算論学者の連携による研究を行い、相補的研究により行動の認知的制御メカニズムの解明を目指した。研究代表者は霊長類を対象とした生理学的実験を引き続き行い、外界事象の認知情報と記憶情報、及びその両者の組み合わせによる情報に依拠して多彩に行われる行動の統合的制御機構を明らかにした。 銅谷チームは、脳の行動学習過程のモデルとしての強化学習理論の妥当性を検証するため、ラットの選択行動学習の時系列データを解析し、従来の強化学習を拡張したモデルが実際の行動学習過程を最も良く近似することを明らかにした。また行動の選択には、環境の状態遷移モデルを用いたモデルベース手法と、行動価値によるモデルフリー手法とが、どの状況で、どの脳部位により実現されているかを明らかにするため、新たな行動課題を開発しfMRI実験を行った。その結果、予め学習したカーソル移動規則で新たなゴールへの到達経路を学習する際には、行動開始前の待機時間が行動成績を有意に向上させ、この間にモデルベースの行動戦略が取られていること、そして行動計画時には前頭前野および線条体の前方部の活動が高まることを発見した。 他方鈴木チームは、パーキンソン病患者(PD)32名、健常対照群20名に写真を見せ、その後「この写真を見たことがあるか」という質問に、正直に答える、嘘をつくという条件で正答率を比較した。その結果、PDでのみ、嘘つき条件での正答率が正直条件より有意に低下していた。PDに安静時FDG-PETを施行し、嘘つき課題の成績と相関する領域を検討すると、右前頭前野前部(BA10)、左前頭前野(BA10/46)の糖代謝低下と成績が関連していた。PDにおいては、基底核のみならず大脳皮質連合野のBA10BA10/46、の機能低下が有り、その結果としてdeceptionができなくなると結論された。
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Research Products
(23 results)