2005 Fiscal Year Annual Research Report
内臓感覚による情動形成における前頭前野・前帯状回の役割
Project/Area Number |
17021006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
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Keywords | 内臓感覚 / 情動 / 前頭前野 / 前帯状回 / PET / fMRI / 催眠 / セロトニントランスポーター遺伝子多型 |
Research Abstract |
ヒトの内臓感覚を作る脳部位はどこで、どのように制御されるのかを解決することが本研究の目的である。本研究では以下の仮説を検証した。仮説1:消化管の刺激位置により、内臓感覚を作る脳部位が異なる。仮説2:催眠暗示により前頭前野と前帯状回機能が変化し、内臓感覚が変化する。仮説3:感覚刺激による条件づけに関連する脳賦活様式はセロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)の影響を受ける。 対象は成人333名である。直腸(n=14)ならびに下行結腸(n=15)にバッグを挿入し、圧伸展刺激を加え,H2^<15>Oを静注し、positron emission tomography (PET)を行った。直腸刺激においては、更に鎮痛、中性、過痛の催眠暗示を与えた後に圧伸展刺激を加えた。得られた局所脳血流量(rCBF)のPET画像はSPM2で分析した。304名では採血して5-HTTLPRを分析し、I/I(n=10)、I/s(n=10)、s/s(n=10)各多型を抽出した。白色雑音を聴取させた直後は無刺激とし、高調音を聴取させた直後に左足背に電気刺激を加え、条件づけを行った。この間、脳のfunctional magnetic resonance imaging (fMRI)を施行し、得られた画像の遺伝子多型による反応差を分析した。 下行結腸刺激は直腸刺激に比し二次感覚野、背外側前頭前野、内側前頭前野、前帯状回をより賦活化した(p<0.001)。鎮痛暗示下の直腸刺激は、中性暗示に比し、下部頭頂皮質、背外側前頭前野(右)、内側前頭前野、内側前頭皮質のrCBFを有意に増加させた(p<0.001)。条件刺激時の縁上回活動は有意に5-HTTLPR多型間で異なり(交互作用p=0.008)、I/I型はs/s型よりも有意に活動が高かった(p<0.05)。無害刺激時の眼窩前頭皮質(主効果p=0.001)、橋(交互作用p=0.008)活動に有意な5-HTTLPR多型差が見られ,I/I型に比し、s/s型が有意に眼窩前頭皮質活動は低く(p<0.05)、橋活動が高かった(p<0.05)。 消化管の刺激位置により、脳賦活部位は異なっていた。催眠暗示により前頭前野と前帯状回機能が変化し、内臓感覚も修飾された。条件刺激と無害刺激時の縁上回、眼窩前頭皮質、橋の活動に5-HTTLPR多型差を認めた。
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Research Products
(6 results)