2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17021028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 浩樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60294071)
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Keywords | シナプス可塑性 / 異シナプス性長期抑圧 / 発達 / カンナビノイド |
Research Abstract |
神経活動に応じてシナプス伝達を強化するシナプス可塑性現象は、海馬における学習・記憶の形成、さらに活動依存的な発達期神経回路の再構築に関与すると考えられており、特に成熟動物のシナプス可塑性メカニズムは電気生理学・薬理学的方法のみならず近年分子生物学的手法も導入されて、非常に精力的に研究されてきた。ただ、生後一週ほどの幼若な動物の神経組織においてはGABAシナプス等の抑制系の発達が乏しく、大きな興奮性増加を伴う可塑的変化は病的興奮や神経組織の障害を起こす可能性がある。発達期海馬には成熟期とは異なり、PKAによって生じる比較的小さな長期増強が生じることを報告した(Yasuda et al.2003)。さらに発達期海馬では、興奮性入力が活動依存的に興奮性シナプス自身を抑圧するメカニズムが発達しており、長期増強に伴って別の、高頻度刺激を受けないシナプスに異シナプス性長期抑圧が生じることを見いだした。活動の低いシナプスを抑圧して活動の高いシナプスを相対的に増強することにより、発達期の小さな長期増強を補完するメカニズムであると考えられる。この異シナプス性長期抑圧は(1)若い動物であるほど抑圧の程度が大きく、(2)生後数週間にわたって観察されるが、発達とともに減弱し消失する。(3)逆行性シグナルであるカンナビノイド受容体が関与していて、(4)一部のシナプスに高頻度入力を受けた神経細胞の、入力の少ないシナプスだけではなく、別の近傍の細胞間に広がっていることを示す結果を得た。
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