2005 Fiscal Year Annual Research Report
選択的な神経路標的法による大脳皮質-基底核ループ回路の機能に関する統合的研究
Project/Area Number |
17021035
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Keywords | イムノトキシン / 組換え体ウイルス / 逆行性輸送 / 線条体 / 黒質網様部 / 黒質緻密部 / 大脳基底核 / 行動制御 |
Research Abstract |
大脳皮質前頭葉と大脳基底核を連関するループ回路は、行動の学習、発現、組織化に重要な役割を果たす。行動制御を媒介する神経回路メカニズムの解明において、回路を構成する特定の神経路がコードする情報やそれらの相互作用に基づいて情報を処理する機序の解明が必須である。本研究では、イムノトキシン細胞標的法を改変し、ある脳領域から別の脳領域へ入力する特定の神経路を除去する技術(イムノトキシン神経路標的法)を開発する。本年度は、特に、逆行性に導入遺伝子を発現させるための組換え体ウイルスベクターシステムについて検討した。GFPあるいはヒトIL-2Rα/YFPを導入遺伝子とするHIVタイプ1由来の組換え体レンチウイルスを作製した。これらの組換え体ウイルスは培養細胞において高い感染効率を示した。組換え体ウイルスをマウスあるいはサルの線条体に注入し、さまざまな脳部位での導入遺伝子の発現を解析した。マウスでは、注入部位である線条体において多数の細胞にウイルスの感染が観察された。GFPを導入遺伝子とした場合は、黒質網様部や淡蒼球に順行性の標識が観察された。サルでは、線条体や順行性の投射領域への感染に加え、黒質緻密部や大脳皮質などの領域へ逆行性に感染し、これらの領域において導入遺伝子を発現することが観察された。以上の結果は、サルではHIVタイプ1由来のレンチウイルスを用いることによって、逆行性に導入遺伝子を発現させることが可能であることが示された。しかし、マウスでは同じ組換え体ウイルスでも逆行性の感染の効率は低いようであった。イムノトキシン神経路標的法を利用する場合、マウスでは神経細胞に対してより高い親和性を持つ組換え体ウイルスの開発が必要である。
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Research Products
(9 results)