2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17021039
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
稲瀬 正彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80249961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 惇 近畿大学, 医学部, 助手 (30155311)
生塩 研一 近畿大学, 医学部, 助手 (30296751)
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Keywords | 時間情報 / 大脳皮質 / 大脳基底核 / 前頭連合野 / 神経細胞活動 / 霊長類 / 神経科学 / 認知科学 |
Research Abstract |
我々は、大脳皮質前頭連合野と大脳基底核をめぐるループ回路における時間情報処理機構の解明を目指して、研究を進めている。本研究では、視覚刺激の時間弁別課題を遂行中のサルを用いて、大脳皮質前頭連合野から神経細胞活動を記録し解析した。課題では、呈示時間の異なる2種類の視覚刺激を1秒間の遅延期間(D1期間)をはさんで呈示し、続く2回目の遅延期間(D2期間)後に、その2種類の視覚刺激を同時に呈示し、呈示時間の長かった方の視覚刺激を選択させた。呈示時間は200〜1600msの間で、100ms間隔で試行毎に変化させた。刺激呈示時間の長短の順序(長-短か短-長)や視覚刺激の種類の順序も、試行毎にランダムに変えた。動物の正答率は、二つの視覚刺激の呈示時間の時間差に加えて、長短の視覚刺激の呈示順序に影響された。訓練により動物が十分に課題を遂行できるようになった後、記録実験を遂行した。2頭のサルから記録した562ニューロンについて、遅延期間(D1とD2期間)の神経細胞活動を解析した。長-短試行と短-長試行とで比較してみると、93ニューロンで遅延期活動が異なっていた。61ニューロンがD1期間に、37ニューロンがD2期間に、5ニューロンが両期間に違いを示した。D1期間のみで活動が異なっていた61ニューロンのうち、36ニューロンで長-短試行の、25ニューロンで短-長試行の活動が大きかった。長-短試行で活動が増加したニューロン群について、1番目の視覚刺激の呈示時間とD1期間の発射活動との関連を分析した。このニューロン群の活動は、D1期間の開始直後から、長い刺激後と短い刺激後とでは異なっており、刺激呈示時間が900ms付近まで増加すると、活動がステップ状に増加していた。これらの結果は、前頭連合野の神経細胞が視覚刺激の呈示時間のカテゴリ化に関わっている可能性を示す。
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Research Products
(4 results)