2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の視線計測による社会的相互作用の定量化と三項関係成立過程の解析
Project/Area Number |
17021045
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
定藤 規弘 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (00273003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50211735)
尾崎 統 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (00000208)
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Keywords | 機能的MRI / 共同注意 / 心の理論 / 視線計測 / 脳血流 / 対面コミュニケーション / 学習 / 言語 |
Research Abstract |
【研究目的】新たな視線の定量解析法を用いることにより、生後4ヶ月から9ヶ月でおこる共同注意の成立過程をあきらかにすることを目的とする。乳幼児と親ならびに第三者あるいは物の間の相互作用を、視線の位置と方向の6次元ベクトルの時系列データとして記録し、動的因果関係に基づいた時系列解析モデルを用いてこの時系列データを解析することにより、他者の視線の動きが、乳幼児の視線の動きに影響する程度を定量化する。対照として、同一の統制された条件下にて、成人の計測を行い、その際に脳機能イメージング手法を組み合わせることにより、共同注意に関与する神経基盤を明らかにする。 【計画】乳幼児ならびに検者の行動をビデオ記録する装置、および近赤外光を用いた非拘束的視線追跡システムを京都大学にて構築する。これは被験者の頭部に装着したマーカーからの赤外線反射光を複数の赤外線カメラで検出することにより、複数の被験者の顔面の方向と位置を6次元データポイントとして連続的に計測するシステムである。生後4ヶ月から1ヶ月ごとに10ヶ月まで、詳細な神経学的発達検査とともに、共同注意を含めた視線課題を遂行する。共同注意という現象には、大人の視線に追従して、その指し示している場所を特定する能力が必要である。これら二者の視線の間の相互関係を、発達段階をおって縦断的に定量することにより、発達のどの段階から、共同注意が発生するかを詳細に検討することができる。そこで、共同注意を含めた視線を用いる各種実験パラダイムを用意する。これには、(1)視線課題としてPC画面と対面で行うもの、(2)こどもと親の対面で行うもの、(3)親の立会いのもとで験者とこどもが対面になって行うもの、の3種類を用意し、二項関係および三項関係における、こどもと大人の、視線における相互作用を実験的に統制する。機能的MRIを用いて共同注意の神経基盤を同定する。 【進捗状況と成果】京都大学において、視線計測に必要な光学式動態計測装置を備えた観察室を立ち上げた。共同注意ならびにその萌芽的な心的過程を抽出するための、視線を用いた各種実験パラダイムを開発し、検査パッケージとして纏め上げた。その上で乳幼児登録者20名を確保し、前向き縦断研究を開始した。生理研では、共同注意ならびにその萌芽的な心的過程の神経基盤を描出するため、成人における機能的MRI用の課題設計を進めている。統計数理研究所(尾崎:数理統計学)において、視線の時系列データを解析するための統計手法の開発を進めている。共同注意における実際の視線計測データを用いて、定常状態を仮定せずに(つまり時々刻々の)個体間の相互作用を定量できることが判明した。
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Research Products
(5 results)