2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17021047
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
HENSCH Takao 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, グループディレクター (60300878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 ゆかり 独立行政法人理化学研究所, 林崎生体分子機能研究室, 協力研究員 (80391928)
FAGIOLINI Michela 独立行政法人理化学研究所, 神経回路発達研究チーム, 研究員 (20332330)
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Keywords | 臨界期 / 視覚野 / 暗室飼育 / 抑制性伝達 / GABA / マイクロアレー / ミエリン / NOGO |
Research Abstract |
ヒトをはじめとする哺乳類の中枢神経系は出生時には未熟で、生後の発達初期に自己の経験を通じて急速に成熟していく。例えば、生後の発達初期に短期間の片眼遮断を行うと、その眼の視力は極度に低下し、遮断しなかった眼からの入力が構造的にも機能的にも優位になる一方、成熟動物では、片眼遮断によって眼優位の変化を引き起こすことが極めて困難である。近年、大脳皮質内の特有な抑制系(GAD65)を操作することにより、自己の経験や環境に応じてシナプスがダイナミックに繋ぎかえられる視覚経路の「臨界期」を本来より早めたり、可塑性の失われた動物に臨界期を誘導したりと、自由に操作できるようになった。 そこで、この眼優位性に関する可塑性の現れる限られた時期に焦点をあて、発達段階に伴って特異的に発現する遺伝子群16,000クラスターを用い、これらをマイクロアレイに並べgene chip作成と電気生理学的・解剖学的解析を行った。臨界期を迎えないGAD65遺伝子欠損マウスや暗室で飼育した動物の遺伝子レベルを比較したところ、臨界期の終了過程に伴って現れる、神経成長を阻害するいくつかのミエリン要因が明らかになった。具体的に、MAG、PLPやMBPのミエリン要因が顕著に現れ、これらの標的となるNOGO受容体の伝達阻害、あるいは局所的脱ミエリン化を行い、機能的変化から形態的固定化に移行する臨界期過程を逆流させた。脳の発達と一生を通しての学習機構とをつなぐための情報を蓄積し、成熟動物に発達期の可塑性を生理学的に取り戻すことに成功した。
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Research Products
(3 results)