2005 Fiscal Year Annual Research Report
行動の組織化に関わる大脳皮質-大脳基底核連関の統合的研究
Project/Area Number |
17021050
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
高田 昌彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00236233)
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Keywords | 大脳皮質 / 運動領野 / 前頭前野 / 大脳基底核 / 運動制御 / 行動発現 / 狂犬病ウイルス / サル |
Research Abstract |
「狂犬病ウイルスを用いたニューロンの越シナプス性ラベルによる大脳皮質-大脳基底核ループの構造解析」に関する研究計画として、サルの一次運動野に多シナプス性に入力する大脳基底核のニューロン分布を詳細に調べた。その結果、淡蒼球内節及び視床を経由して一次運動野の下肢、上肢、口腔顔面領域に入力する線条体ニューロンは、それぞれ被殻の背側から腹側に向かって局在分布しており、さらに上肢領域を遠位部と近位部に分けた場合、それぞれを再現する線条体ニューロンは、被殻の内外に局在分布していることが明らかになった。このような線条体ニューロンの分布様式は一次運動野から線条体への入力の体部位局在分布と一致するため、一次運動野に由来する大脳皮質-大脳基底核ループはいわゆる閉回路を形成していることが示唆された。また、「運動課題や認知課題に関連した前頭葉および線条体のニューロン活動の解析と計算論的シミュレーション」に関する研究計画として、時間認知における前頭前野の機能的役割を解明するため、時間再生課題を実行中のサルで課題に応答するニューロン活動を記録した。その結果、特定の時間長(例えば、2,4,7秒)を示す手がかり刺激やGoシグナルに対して特異的に応答するニューロン活動が9野で多数みとめられた。このことは、時間認知に重要な役割を担っているニューロンが前頭前野の9野に存在することを示唆している。さちに、大脳基底核の運動制御機構と病態生理に関する研究成果として、パーキンソン病のモデルザルにおいて、代謝調節型グルタミン酸受容体タイプ1の発現が淡蒼球内節・外節や黒質網様部で特異的に低下していることを形態学的に明らかにするとともに、淡蒼球や黒質のニューロン活動にこのグルタミン酸受容体が関与していることを電気生理学的に示した。
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