2008 Fiscal Year Annual Research Report
行動の組織化に関わる大脳皮質-大脳基底核連関の統合的研究
Project/Area Number |
17021050
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
高田 昌彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00236233)
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Keywords | 大脳皮質 / 運動領野 / 前頭前野 / 大脳基底核 / 運動制御 / 行動発現 / 狂犬病ウイルス / サル |
Research Abstract |
(1)狂犬病ウイルスを用いたニューロンの越シナプス性ラベルによる「大脳皮質-大脳基底核ループ」の構造の解析 平成20年度は、サルの前頭前野領域(特に、9野内側部および外側部と46野背側部および腹側部)に多シナプス性に入力する頭頂・側頭連合野ニューロンの分布様式を解析した結果、以下のことが明らかになった。まず、頭頂連合野との連絡については、どの前頭前野領域も主としてLIP野からの入力を受けているが、9野内側部への入力はLIP野のより後方部に、46野腹側部への入力はより前方部に、9野外側部および46野背側部への入力はその中間部に由来することがわかった。次に、側頭連合野との連絡については、9野内側部および外側部と46野背側部への入力が嗅内皮質と海馬傍皮質に由来するのに大して、46野腹側部への入力はTE野に由来することがわかった。現在、これらの前頭前野領域と大脳基底核(特に線条体投射ニューロン)や小脳(特にプルキンエ細胞)との結合様式についても検討を進めている。 (2)大脳基底核の病態生理の解析 平成20年度は、パーキンソン病に対する遺伝子治療の試みとして、アデノウイルスベクターを用いて、カルシウム結合タンパクのひとつであるカルビンディンを黒質ドーパミンニューロンに強制発現させることにより、ドーパミンニューロンの変性・脱落を防御し、パーキンソン病様の運動障害の発症を抑制することに成功した。現在、アデノウイルスに比べてニューロンに強い特異性を有するとともに、安全性かつ安定性が高いレンチウイルス(特にHIV-1)あるいはアデノ随伴ウイルス(特にタイプ1)を用いて、カルビンディン遺伝子組換えウイルスベクターを作製し、同様の実験計画を進めている。
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