2005 Fiscal Year Annual Research Report
異種情報の時空間コーディングと統合的処理に関する非線形システム論的研究
Project/Area Number |
17022012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合原 一幸 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40167218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀幸 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60334257)
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Keywords | 脳 / 数理モデル / 非線形解析 / 脱分極性GABA / STDP / 情報コーディング / ニューロンモデル |
Research Abstract |
脳内の情報コーディング様式は、従来の発火率のみによるコーディングパラダイムの限界が指摘され、時空間スパイクコーディングの重要性や、脱分極性GABA作用、STDP(Spike Timing Dependent Plasticity)特性などの新しい実験的知見に基づく情報コーディング様式の可能性が指摘されている。本研究では、電気生理学的知見と機能的知見を基に非線形システム論的アプローチによる理論的研究を進め、異種情報の表現に用いられる様々なコーディング様式、さらには異種情報の統合処理を統一的に説明できる数理モデルを構築することを目的とする。 本年度は、特に重要性が高いと思われる脱分極性GABA作用、STDP特性、ニューロンやニューラルネットワークの分岐構造などについて詳しい研究を行なった。まず、脱分極GABA作用に関しては、GABA反転電位の値の違いが単一神経細胞の発火率応答に及ぼす影響を解析するとともに、その情報コーディングや情報処理における役割に関して検討し、神経細胞が興奮性(神経伝達物質グルタミン酸性)の入力とGABA性の入力という2種類の周期的入力を受ける場合に、位相差が集団平均発火率のなめらかな両方向性の変化に変換されることを明らかにした。次に、STDPの学習ダイナミクスを情報理論の観点からモデル化し、情報伝達量の最適化から導出された学習則に対するスパイク時刻依存性の可塑特性が、実験結果を定性的に説明し得ることなどを明らかにした。さらに、情報コーディングに関する数理モデル解析と生理実験解析の融合を目的として、生理実験データの予備的解析を、生理学者と共同で開始した。
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