2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 邦嘉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10251216)
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Keywords | 言語 / 脳機能 / 機能イメージング / 文法 / 文処理 / ブローカ野 |
Research Abstract |
1.大学生における英語の熟達度で「文法中枢」の活動量に差が現れることを証明 機能的磁気共鳴映像法(fMRI)の実験から、英語の熟達度で脳の「文法中枢」の反応が変わることを初めて直接的に証明した。熟達度とは、言語知識が定着した程度を表す指標で、今回は英語の不規則動詞の過去形に対する正答率で評価した。中学生から大学生に至るまで英語が定着していく過程で、長期的に文法中枢の活動がどのように変化するかが明らかになっていなかった。今回、大学生を対象として、英語に関連する課題を行っている際の脳活動をfMRIにより測定することによって、英語の「熟達度」が高くなるほど文法中枢の活動が節約されていることが明らかになった。この結果と、英語習得を開始したばかりの中学生の英語の成績の向上に比例して文法中枢の活動が増加することを合わせると、中学生から大学生にかけて英語が定着するに従って、文法中枢の活動が高まり、維持され、節約されるというダイナミックな変化が見られることが示唆された(Tatsuno & Sakai,2005;Sakai 2005)。 2.脳での文章理解は手話と音声で完全に同じ左脳優位であることを証明 機能的磁気共鳴映像法(fMRI)の実験から、日本手話による文章理解が音声と同じ左脳優位であることを初めて直接的に証明した。アメリカ手話の研究では、左脳の損傷で音声言語と同様に手話失語が起こることが明らかとなっている。一方、最近のfMRIによる研究では、手話を見るときに右脳の活性化が特に高まることが報告されており、手話失語の知見と矛盾するため、激しい論争が行われてきた。今回、ろう者・コーダ(日本手話と日本語のバイリンガル)・聴者の3グループを対象として、文章理解における脳活動をfMRIにより測定し比較することによって、日本手話の場合も日本語と同様に左脳の言語野が活性化することが明らかになり、脳における言語処理の普遍性が示唆された(Sakai et al.,2005)。
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Research Products
(7 results)