2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 邦嘉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (10251216)
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Keywords | 言語 / 脳機能 / 機能イメージング / 文法 / 文処理 / ブローカ野 |
Research Abstract |
従来の脳波による研究は、意味的な結びつきや文脈に基づいた言語処理の促進を明らかにしてきた。しかし、先行する統語的な情報がオンラインの文処理へいかに統合されるかは明らかでなく、機能イメージングで明らかにされた統語処理の機能局在との対応を解明する必要があった。 本研究では、日本語の文に対して、統語課題(Syn)、意味課題(Sem)、記憶課題(Mem)、価値評価課題(Eva)の4つのタスクを行っている際の脳活動をMEG(脳磁図)を用いて計測した。文刺激は1つの名詞句および1つの動詞から構成した。共通の語幹を持つ自動詞と他動詞をそれぞれ同一の名詞と組み合わせることで、自動詞文と他動詞文のペアを作成した。自動詞文は主格の名詞句と自動詞からなり、他動詞文は目的格の名詞句と他動詞からなる。 動詞に対する活動の最初のピークは、動詞提示後、約130msで観察された。他動詞文条件において、この活動は左前頭領域において統語課題でのみ促進された。一方、自動詞文条件では、そのような課題選択性は観察されなかった。また統語課題における正文条件と非文条件の比較では、他動詞文の正文に対する選択的な活動が見られた。 以上より、文法課題において先行する名詞の格が動詞の処理に対して影響を与えており、目的格と他動詞の正しい組み合わせに対して選択的に活動が促進されていることがわかった。これらの結果は、目的語と動詞がまず結び付けられ、新たな階層レベルを形成すると考える現在の言語理論と一致する。
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Research Products
(11 results)