2005 Fiscal Year Annual Research Report
会話言語遺伝子FOXP2の高次脳機能における役割の解明
Project/Area Number |
17022018
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
三浦 直行 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40165965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 浩司 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90263277)
井上 浩一 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80345818)
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Keywords | FOXP2 / 言語 / 基底核 / 大脳皮質 / 小脳 / 生物進化 / ポリグルタミンリピート |
Research Abstract |
マウスFoxp2染色体遺伝子をまず単離した。この遺伝子は19エキソンからなる全長が300kbp以上の大きい遺伝子であることが判明した。エキソン14をloxPで挟み込んだターゲティングベクターを作製し、マウスES細胞にエレクトロポレーションにて遺伝子導入した。相同的に組み換えを起こしたクローンをサザンブロット法にて判定し、5クローンを得た。現在、キメラマウスを作製中である。 メダカFoxP2遺伝子は、マウスFoxp2遺伝子との相同性を用いてクローニングし、全長のcDNAを得ることに成功した。マウスFoxp2蛋白が715のアミノ酸からなるに比し、メダカFoxP2蛋白は766アミノ酸からなることが判明した。構造的特徴であるジンクフィンガー、ロイシンジッパー、フォークヘッドドメインは保存されていた。フォークヘッドドメインのN末側に16個のアミノ酸からなる領域が、C末側に54個のアミノ酸からなる領域が挿入されていた。また、ヒトやマウスに保存されていたポリグルタミン配列が欠失していた。ヒトとマウス間では3アミノ酸が異なるのみであったが、マウスとメダカ間では、20%のアミノ酸が置換していた。メダカにおけるFoxP2遺伝子の発現を抗メダカFoxP2抗体によるホールマウント免疫染色法で観察すると、前脳の一部、中脳の広範囲に強い発現が認められたが、小脳における発現は弱い発現であることが判明した。 マウス蛋白とメダカ蛋白のアミノ酸配列がかなり異なったので、機能的な検討も行った。CC10遺伝子プロモーターに対して、メダカFoxp2蛋白は転写抑制に働くが、メダカFoxP2蛋白は転写抑制には働かず、むしろ弱い転写活性化作用も見られたことから、マウスとメダカの間には進化に伴いFoxP2蛋白の機能変化がおこった可能性があることが示唆された。
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Research Products
(6 results)