2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 憲二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40134530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲場 直子 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助手 (20432370)
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Keywords | 運動制御 / 脳 / 視覚 / 選択 / 順応 / 眼球運動 / 受動的情報 / サル |
Research Abstract |
サルが追跡眼球運動中にMT、MST野のニューロン活動を記録し、視覚刺激に対する反応の性質を調べたところ、MT野とMST野のニューロンでは性質が異なり、MT野のニューロンは視覚刺激の網膜上の動きに対応した反応を示すのに対して、MST野のニューロンはサルが眼を動かしているいないに関わらず、視覚刺激のスクリーン上の動きに対応した反応を示すことが明らかになった。 次に、MST野のニューロン活動がどのような情報処理の結果として実現されているかを明らかにする必要がある。解剖学的にはMST野はMT野から入力を受けることが知られているが、固視中と追跡眼球運動中でそれぞれの領野のニューロン反応の視覚刺激への依存性が保たれているかどうかは明らかになっていない。そこで、視覚刺激の空間周波数を変化させ、MST野とMT野のニューロンの差異を調べた。白黒それぞれ1度の市松模様(空間周波数=0.5cycles/deg)の視覚刺激に対する反応を調べたところMTニューロン、MSTニューロンともに視覚刺激の動く速度が網膜上で40deg/secを越すと反応が減弱した。また、白黒それぞれ2度の市松模様(空間周波数=0.25cycles/deg)の視覚刺激では、MTニューロン、MSTニューロンともに視覚刺激の動く速度が網膜上で80deg/secを越すと反応が減弱した。この結果は、MTニューロン、MSTニューロンともに視覚刺激の時間周波数が網膜上で20Hzを越すと反応しなくなることを意味し、MSTニューロンの反応特性がMTニューロンから得られた情報をもとに構築されていることを示唆している。
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