2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60181351)
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Keywords | 両眼立体視 / 両眼視差 / ステレオビジョン / 側頭葉 / 腹側視覚経路 / V4野 / 視覚情報処理 / ランダムドットステレオグラム |
Research Abstract |
ヒトやサルの視覚システムは、2枚の網膜画像から見ている情景の3次元構造を構築する能力(両眼立体視能力)を持つ。両眼立体視に関わる情報処理は、一次視覚野(V1野)における両眼網膜像の位置ずれ(両眼視差)の検出に始まる。それに続く情報処理は、従来、頭頂葉視覚経路でなされていると考えられてきたが、近年、側頭葉視覚経路(V4野やIT野)においてもなされていることが判明した(Uka et al.,J.Neurophysiol.,84:120-132,2000)。 本年度、われわれは、細かい奥行き判断(立体視力)課題遂行中のサルIT野の神経細胞活動か示す試行間変動が、サルの奥行き知覚判断と相関することを見出した(Uka et al.,J.Neurosci.,25:10796-10802,2005)。例えば、交差視差0.01度のような奥行き弁別閾値近傍の両眼視差の奥行き判断を強いると、サルは、正しく「手前」に判断することもあれば、誤って「奥」に見えると判断することもある。このとき、交差視差に感受性を持つ細胞は、事前に見えると判断する試行においては奥に見えると判断する試行よりも、強い活動を示す傾向がある。この結果は、IT野の活動が両眼奥行き判断に利用されていることを示唆している。さらに、われわれは、IT野の前段であるV4野の細胞の両眼視差選択性の定量的解析を行い、V4野細胞のほとんどが交差視差に感受性を持つことから、通常考えられているように、交差視差細胞と非交差視差細胞の活動の間の競合の結果によって奥行き判断がなされるのではなく、交差視差細胞の活動レベルの上下が、下流の細胞群によって読み出されているとの仮説を提出した(Tanabe et al.,J.Neurophysiol.,94:2683-2699,2005)。
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Research Products
(6 results)