2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60181351)
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Keywords | 両眼立体視 / 両眼視差 / ステレオビジョン / 側頭葉 / 腹側視覚経路 / V4野 / 視覚情報経路 / ランダムドットステレオウラム |
Research Abstract |
ヒトは、物体までの距離が変化し網膜投影像の大きさが変化しても、その物体の大きさは一定であると知覚することができる。この知覚現象は大きさ恒常性と呼ばれ、脳は網膜投影像の大きさと物体までの距離を利用して、物体の大きさを計算している。物体の大きさの脳内表現について調べた研究は殆ど行われていない。 本研究では、距離情報として両眼視差に注目し、サルV4野神経細胞の大きさ選択性に対する両眼視差の影響について調べた。単一神経細胞活動を記録した、様々な両眼視差値における大きさ反応曲線を調べてみると、V4野神経細胞の大きさ選択性は、刺激の両眼視差によって変化し、刺激が近くなるに従い最適刺激サイズが大きくなっていた。ヒトを被験者として心理物理学実験を行ったところ、同じ網膜像の大きさを与える物体であっても、非交差視差により遠くに知覚される物体は小さく、交差視差により近くに見える物体は小さく見えることが判明した。この知覚の性質は、V4野細胞の生理学的性質により説明が可能である。記録されたV4野神経細胞の応答特性は、視差エネルギーモデルにより記述される2つの複雑型細胞の組み合わせによって記述することができた。以上の結果は、V4野細胞が、網膜像における大きさ情報と両眼視差情報を利用することで、物体の大きさが計算し、大きさ恒常性に寄与することを示唆している。
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Research Products
(33 results)