2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022037
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
坂上 雅道 Tamagawa University, 脳科学研究所, 教授 (10225782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋田 栄揮 玉川大学, 工学部, 教授 (60142006)
岡田 浩之 玉川大学, 工学部, 教授 (10349326)
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Keywords | 思考 / 推論 / 前頭前野 / サル / 認知発達 |
Research Abstract |
サルに推論課題を学習させ、その課題遂行中の前頭前野ニューロンの活動を調べた。この実験では、6つの視覚刺激を2つのグループにわけ、まず、それぞれの関係を学習させた(A1、B1、C1によるグループとA2、B2、C2のグループ)。次に、C1とC2を使ってグループとジュース報酬の関係を教え、A1、A2、B1、B2と報酬との関係を推測させた。前頭前野外側部のニューロンは、直接経験なしに報酬を予測する活動を示した。このことは、前頭前野ニューロンが、C刺激と報酬の関係とC刺激とグループ(カテゴリー)の関係を結びつけることにより、直接経験していないA刺激やB刺激と報酬の関係を推論していることを示している。さらに、A刺激だけを使って新しい刺激とグループの関係を教えた場合でも、同様の手続きで、サル自身の行動と前頭前野ニューロンが新しい刺激と報酬の関係を推論できることもわかった。詳しい解析の結果、前頭前野ニューロンは、刺激をカテゴリー化してコードし、そのカテゴリー情報と意味の情報(この場合、報酬情報)を結びつけることによって報酬予測(価値の生成)を行っていることがわかった。このような報酬予測(価値の生成)機能が、大脳基底核ニューロンのものとどう違うかを知るために、推論課題遂行中のサルの尾状核と前頭前野からニューロン活動の同時記録も行った。その結果、多くの尾状核ニューロンが報酬予測的応答を見せたが、C刺激を使った学習試行直後の推論試行では、最初の1試行目だけは報酬の予測ができなかった。2試行目からは前頭前野ニューロン同様報酬予測的活動が見られたが、1試行目の経験が使えるためこの予測的活動は推論によるものとは言いにくい。一方、サル自身の行動と前頭前野ニューロンでは1試行目から報酬予測的活動が見られた。したがって、前頭前野と尾状核では異なるメカニズムで報酬予測を行っていると言える。
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Research Products
(22 results)