2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022037
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
坂上 雅道 Tamagawa University, 脳科学研究所, 教授 (10225782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋田 栄揮 , 工学部, 教授 (60142006)
岡田 浩之 , 工学部, 教授 (10349326)
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Keywords | ニホンザル / 前頭前野 / 大脳基底核 / 推論 / 単一ニューロン / 尾状核 / カテゴリー / モデル |
Research Abstract |
ヒトの知性の特徴は、条件付けなどで獲得した事象の連合の情報をさらに組み合わせることにより、複雑な予測や計画を造る能力にある。実際に経験していないようなことも、このような能力により推論することもできる。このような機能は大脳皮質、特に前頭前野のモデルベースシステムの働きにより実現されていると考えられる。その基礎を理解するために、我々はサルに刺激A-刺激B、刺激B-報酬の関係を使って報酬を予測する推論課題を学習させ、その課題遂行中の前頭前野ニューロンの活動を調べた。反応時間や正答率によって報酬予測を間接的に知ることができるが、サルは直接の経験なしに刺激と報酬の関係が推論できることがわかった。前頭前野外側部のニューロンも行動同様、直接経験なしに報酬を予測する活動を示した。詳しい解析の結果、前頭前野ニューロンは、刺激をカテゴリー化してコードし、そのカテゴリー情報と意味の情報(この場合、報酬情報)を結びつけることによって報酬予測を行っていることがわかった。このような報酬予測機能が、大脳基底核ニューロンのものとどう違うかを知るために、推論課題遂行中のサルの尾状核と前頭前野からニューロン活動の同時記録も行った。その結果、多くの尾状核ニューロンが報酬予測的応答を見せたが、推論試行では、最初の1試行目だけは報酬の予測ができなかった。2試行目からは前頭前野ニューロン同様報酬予測的活動が見られたが、1試行目の経験が使えるためこの予測的活動は推論によるものとは言いにくい。したがって、前頭前野と尾状核では異なるメカニズムで報酬予測を行っていると言える。直接の経験なしに過去に経験した連合情報を組み合わせて新しい関係が推論できる前頭前野ニューロンはモデルベース的処理を可能にし、直接経験に依存して報酬予測を行う尾状核ニューロンはモデルフリー的な処理の特徴を持っている。
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Research Products
(26 results)