2005 Fiscal Year Annual Research Report
外界を脳内に再構成する神経メカニズム-霊長類とヒトでの研究-
Project/Area Number |
17022038
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
泰羅 雅登 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (50179397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 俊平 日本大学, 総合科学研究科, PD (80418920)
勝山 成美 日本大学, 医学部, 助手 (00291906)
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Keywords | 奥行き / 認知地図 / 慢性サル / 機能的MRI |
Research Abstract |
三次元形態についての研究では、今年度はCIP領域のニューロンが3D曲面を表象するのか否かについて検討を行った。頭頂間溝後部外側壁(CIP野)のニューロンが、3D曲面刺激にも特異的に反応することを見出した。shape indexとcurvednessのパラメータで、球面から円柱、鞍型などの3D曲面を定量的に表現する方程式(Koenderink、1999)によって作成した3D曲面刺激をランダムドットステレオグラム(RDS)で表現して画面上に呈示し、注視中のサルCIP野から単一ニューロン活動を記録した。その結果、凸部あるいは凹部をもつ3D曲面に選択的に反応するニューロン群が見出され、約半数のニューロンはshape indexに選択的であった。また、curvednessや、曲面の軸方向に選択的なニューロンもあった。さらに、呈示した3D曲面の一つに対して特異的に応答するニューロンが少数存在した。また、一部のニューロンは視差のないテクスチャーで表現された曲面にも応答し、曲面の表象においても視差情報と絵画的手がかり情報の統合が行われている可能性が示唆された。これらのことから、CIP野ニューロンは様々な3D曲面をコードしていることが明らかとなった。 機能的MRIによって、ヒトの両眼視差信号による奥行き情報処理過程に階層的な流れがあることがわかってきた。視差信号のみで作成された刺激(ランダムドットステレオグラム)を使い、図形の奥行き、形、傾きを識別させる課題遂行中の脳活動を機能的MRIによって計測した。もっとも次元の高い情報である傾きを識別する際には右の頭頂間溝後方部に限局した活動が見られた。傾き識別時と奥行き、形の識別時を比較すると、V3領域、中後頭回領域に独立した活動領域が見られ、視差信号が、これらの領域を中継しながら、階層的に処理される可能性を示唆するデータを得た。
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