2007 Fiscal Year Annual Research Report
外界を脳内に再構成する神経メカニズム-霊長類とヒトでの研究-
Project/Area Number |
17022038
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
泰羅 雅登 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50179397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 成美 日本大学, 医学部, 助手 (00291906)
海野 俊平 日本大学, 総合科学研究所, PD (80418920)
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Keywords | 奥行き / 認知地図 / 慢性サル / 機能的MRI |
Research Abstract |
サルにバーチャルリアリティ(VR)建造物内を指定した部屋に移動するナビゲーション課題を訓練し、頭頂葉内側領域および脳梁膨大後部皮質より課題遂行中のニューロン活動を記録してきた。その結果、頭頂葉内側領域(主に7m野)から、建造物内の特定の場所で選択的に活動するニューロン、特定のルート途上における特定の場所で選択的に活動するニューロンなどが見つかり、この結果は頭頂葉内側領域のニューロンが、ナビゲーションに必要とされるルート知識に関わることを示していると考えられる(Sato et a1. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:17001-17006,2006)。 本年度は、これらのニューロンのうち、場所の情報に関わると考えられるニューロンがどのような視覚情報に応答しているのかを、ルート全体の動画(Passive)、部分的な動画(Segment)、部分的な静止画(lmage)に対する反応を調べることで検討した。その結果、調べた46個のニューロン中9個(20%)はすべての条件下で通常に比べて減少した。また、13個(28%)のニューロンはルート全体の動画には反応するが、部分的な動画、部分的な静止画に対しては反応が減した。この結果は、これらの場所に選択的なニューロンが単純な視覚刺激に反応しているのではないことを示している。また、課題開始時の指定した部屋のイメージに対する反応を解析したところ、記録したニューロンの27%のニューロンが反応していた。したがって、この領域の場所に選択的に反応するニューロンは単に場所の情報をコードするのではなく、どのルートをたどるのかという文脈に強く依存することが示唆された。
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