2008 Fiscal Year Annual Research Report
外界を脳内に再構成する神経メカニズム-霊長類とヒトでの研究-
Project/Area Number |
17022038
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
泰羅 雅登 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50179397)
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Keywords | ニホンザル / 頭頂間溝 / 奥行き / CIP / LIP |
Research Abstract |
サル頭頂間溝外側壁のCIP野の細胞は、空間内での軸方位、面方位、曲面などに選択的な応答を示し、三次一物体視に関与していることが明らかとなつている。CIP野のこのような性質は、眼球運動に関連した活動を示すLIP野とは異なっており、これら2つの領野は異なる神経結合をもっていることが示唆される。そのため我々は、CIP野に神経トレーサーを注入し、CIP野と他の領野間の神経結合様式について調べた。 ニホンザル2頭のCIP野にBDAを、そのうち1個体の反対側のCIP野に蛍光色素のfluoro-rubv(FR)を、LIP野にfluoro-emerald(FE)をそれぞれ微量注入し(5□m)、ラベルされた細胞の分布を全脳にわたって調べた。その結果、CIP野はV3A、MI、MST野などの背側経路の視覚領野に加え、V2、V4、TEO、TE野、それにSTS下壁などの、腹側経路に属する領野からも入力を受けていることがわかった。 とりわけ、腹側経路からの入力は、LIP野と比較して多かった。CIP野の細胞は両眼視差と単眼性奥行き手がかりの両方に反応することが知られているが、異なる奥行き手がかりの情報がCIP野で統合されていることが、解剖学的にも裏付けられた。また、CIP野とLIP野は、頭頂間溝内部の領野(AIP、VIP、MIP野)や、運前野などからも入力を受けていた。しかし、前頭眼野(FEF)との関係では、LIP野は8A野からの入力を受けていたのに対し、CIP野は内側の8B野からの入力を受けていた。 このことは、CIP野の細胞は眼球運動関連の応答を示さないという観察と一致する。また、CIP野へのトレーサー注入部位は、頭頂間溝尾側部でSMI-32に対する免疫組織化学的染色によって濃く染まる領域内にあった。以上の結果から、CIP野は三次元立体視に関与しており、隣接するLIP野とは機能的にも解剖学的にも独立した視覚領野であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)