2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17022040
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
小松 英彦 National Institute for Physiological Sciences, 生体情報研究系, 教授 (00153669)
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Keywords | 視覚 / 知覚 / 色覚 / 質感 / 機能局在 / マカクザル / ニューロン活動 / 下側頭皮質 |
Research Abstract |
前年度までの研究で、下側頭皮質の前部(AIT)の前中側頭溝(AMTS)後端外側に色選択性を持つ細胞が固まって存在することが我々の研究から明らかになっており、またそれらのニューロン活動がサルの色判断行動と相関していることも確認した。本年度は、これらの色選択細胞の活動が色知覚と因果関係をもつかどうかについて検討するために、この領域に微小電気刺激を加えて、サルめ色判断行動に影響が生じるかどうかを調べた。色弁別課題を2頭のサルに訓練し、それらの課題時に下側頭皮質の前中側頭溝付近のさまざまな場所に微小電極を刺入しニューロンの色選択性を調べた後、微小電気刺激を加え、色判断行動に影響が生じるかどうかを調べた。色弁別課題ではサルが注視中に一つの色刺激が画面中央に呈示され、その後に画面の左右に1つずつ白色のターゲットが現れる。左右のターゲットはそれぞれ異なる色に対応付けられており、サルは左右の二つのうち、いずれが最初に呈示された色と近いかを判断し、そちらに目を向ける。ターゲットに対応付けられた2つの色は色空間で近接した色であり、最初に呈示される色は、これら2つの色の色度座標を直線で結び、これを6等分してできる7つの色のいずれかである。それぞれの色に対してサルが左右のそれぞれの色を選択した確率がサルの色判断を表す心理測定関数である。この課題をサルか行っている時に下側頭皮質前部に微小電気刺激を加えると、一部の場所で心理測定関数の水平移動が生じ、サルの色判断にバイアスが生じた。また電気刺激の効果の大きさは、電気刺激を加えた場所のニューロン活動の色選択性と正の相関が見られた。これらの結果は、下側頭皮質前部の前中側頭溝付近の色選択ニューロンの活動がサルの色判断と関係していることを更に示す結果であると考えられる。
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Research Products
(12 results)